
「決算説明会の動画、YouTubeに上げているだけで本当に個人投資家に届いているのだろうか……」「IR動画を作ったものの、再生数が伸びずに社内評価が上がらない……」。こうした悩みを抱えるIR・広報担当者は少なくありません。
配信手段が多様化する中、闇雲に動画を公開しても成果につながらず、失敗するケースがあります。実は、YouTubeとショート動画を組み合わせた配信戦略を押さえることで、個人投資家への訴求力を高めやすくなります。
この記事では、IR動画をYouTubeで効果的に活用する方法と、再生数を伸ばすための配信方法をわかりやすく解説します。
IR動画をYouTubeで活用するメリットとは?
IR(投資家向け広報)動画をYouTubeで公開すると、企業の透明性を示せるだけでなく、これまで接点の少なかった層にも情報を届けやすくなります。決算説明会の資料だけでは伝わりにくい経営者の考えやメッセージも、映像を通じて伝えられる点が特徴です。
YouTubeを活用する主なメリットは、次の3点です。
- 透明性を高める:経営陣の表情や語り口から、数字だけでは伝わりにくい情報を届ける
- 個人投資家との接点を広げる:説明会に参加できない層にも動画で情報を届ける
- 説明コストを抑える:動画を活用して問い合わせ対応などの負担を軽減する
Crevo代表取締役社長の水口仁志は、IR動画について「一度制作した動画をYouTube上に蓄積できることも、継続的な情報発信におけるメリットの一つ」と考えています。
一度制作したIR動画をYouTube上に蓄積できることは、継続的な情報発信を考えるうえでも重要なポイントです。
IR動画と企業PR動画の違いとは?
IR動画と企業PR動画は、どちらも動画制作という点では共通していますが、目的と対象が大きく異なります。
IR動画は投資家や株主を対象に、経営数字や事業戦略などの情報を正確に伝えることを目的とします。一方、企業PR動画は求職者や顧客などを対象に、ブランドイメージの向上や認知拡大を目指すものです。
そのため、IR動画では誇張表現を避け、客観的な情報を分かりやすく提示することが重要です。
動画制作全体の基礎的な流れを押さえておきたい方は、動画制作の基本ガイドもあわせてご確認ください。
目的とターゲットの違いを理解したうえで企画を立てることが、IR動画を効果的に活用する第一歩です。
IR動画をYouTubeで配信する4つのステップ
IR動画をYouTubeで配信するまでには、企画から公開後の運用まで一連の流れがあります。ここでは、実務で押さえておきたい4つのステップに分けて解説します。
ステップ1:構成(絵コンテ)を固める
IR動画の成否は、構成(絵コンテ)の質に大きく左右されます。決算数値のどこを強調し、どのタイミングで経営者のコメントを挿入するかなどを、事前に設計しておくことが重要です。
構成が曖昧なまま撮影に入ると、編集時に情報が散漫になりやすいため注意しましょう。
構成案の作り方について詳しく知りたい方は、映像制作の構成案の作り方をご参照ください。
撮影前に「何を・どの順番で伝えるか」を明確にしておくことが、IR動画を分かりやすく仕上げるポイントです。
ステップ2:撮影と編集を進める
構成が固まったら、撮影と編集の工程に入ります。経営者インタビューやオフィス風景の撮影に加え、決算資料をテロップやグラフィックとして組み込む編集作業などを行います。
数字の誤読や情報の誤りを防ぐため、編集後の動画は複数人で確認する体制を整えておくと安心です。
ステップ3:YouTubeへ配信する
編集が完了したら、YouTubeへ動画を公開します。タイトルには決算期や事業年度などを明記し、動画の内容が伝わるタイトルにすることがポイントです。
概要欄には決算説明資料へのリンクを添えることで、視聴者がより詳しい情報へアクセスしやすくなります。公開前には非公開設定などを利用して、社内で最終確認を行いましょう。
タイトル・概要欄・公開設定まで含めて、公開前に最終確認することが重要です。
ステップ4:制作スケジュールを逆算する
IR動画は決算発表日という明確な締め切りがあるため、逆算したスケジュール管理が欠かせません。
撮影や編集には想定以上の時間がかかることもあるため、公開日から逆算して余裕を持った制作スケジュールを組むことが重要です。
制作期間の目安については、動画制作の納期の目安も参考にしてください。
個人投資家に届く「ショート動画」活用のポイント
決算説明動画は通常10分〜30分程度の長尺になりやすい一方、個人投資家は短時間で情報を確認するケースもあります。そこで有効なのが、要点を絞ったショート動画への切り出しです。
長尺動画の中から特に伝えたいメッセージを抽出し、短時間で内容を理解できる形にすることで、本編動画への入口を増やせます。
ショート動画を設計する際のポイントは、次の3点です。
- 尺を短くまとめる:数十秒程度を目安に、冒頭で結論や要点を伝える
- 要点を絞る:決算数値などは1〜2項目に絞り、詳細は本編動画へ誘導する
- サムネイルを工夫する:数字やキーワードを大きく配置し、一目で内容が分かるようにする
ショート動画は「本編を見てもらうための入口」として設計すると、長尺動画との役割分担がしやすくなります。
ショート動画を活用したマーケティング全般の考え方は、ショート動画マーケティングでも詳しく解説しています。
長尺動画とショート動画を組み合わせて複数の入口を用意することが、個人投資家との接点を増やすポイントです。
IR動画の費用相場はどれくらい?
IR動画の費用について、決まった価格表があるわけではありません。出演者の有無やアニメーション制作の工数、編集ボリュームなどによって金額は変動します。
まずは目安として、動画タイプ別の費用相場を比較してみましょう。
| 動画タイプ | 費用相場(目安) | 制作期間の目安 | YouTube活用度 |
| 決算説明動画(実写インタビュー形式) | 30万〜100万円程度 | 3週間〜1ヶ月程度 | ◎ |
| 会社紹介・IRアニメーション動画 | 50万〜150万円程度 | 1ヶ月〜2ヶ月程度 | ◯ |
| 決算要約ショート動画 | 10万〜40万円程度 | 1週間〜2週間程度 | ◎ |
| 株主総会アーカイブ動画 | 15万〜50万円程度 | 1週間〜3週間程度 | △ |
費用差が生じる主な理由は、出演者への演出やインタビューの有無、アニメーション制作にかかる工数、編集で使用するグラフィックの量などです。
特にアニメーション動画は、絵コンテから作画までの工程が加わるため、実写動画よりも制作期間が長くなる傾向があります。
撮影を伴う動画の料金相場については、動画撮影の料金相場もあわせてご確認ください。
IR動画をSNSで配信する際の注意点
YouTubeだけでなく、他のSNSでもIR動画を配信することで、より幅広い層に情報を届けることができます。ただし、媒体ごとの特性やルールを理解せずに配信すると、誤解やトラブルにつながる可能性があります。
配信前には、以下の3点を確認しておきましょう。
- 媒体特性を理解する:長尺向きのYouTubeと短尺向きの媒体では、適した動画の長さが異なる
- 権利関係を確認する:使用素材や音楽などの権利・表記ルールを確認する
- 誤解を招く表現がないか確認する:数字の切り取り方などによって誤った印象を与えないよう複数人でチェックする
複数媒体を併用する場合は、YouTubeを本編動画の受け皿とし、他の媒体を本編動画への誘導窓口として位置づける方法もあります。
各媒体の役割を明確にして配信することで、効率的なIR動画の運用につなげやすくなります。
動画制作会社を選ぶときのポイント
IR動画は専門性が高く、社内に十分な制作ノウハウがないケースもあります。そのため、外注先の選定が制作の進めやすさや動画の品質を左右します。
制作会社を選ぶ際は、IR分野での制作実績や、金融・財務に関する情報を正確に扱える体制があるかを確認しましょう。
外注先選びの基準については、動画制作会社の選び方で詳しく解説しています。
Crevoはこれまで2,000社・10,000件以上の制作実績を積み重ねており、IR動画のように正確性が求められるコンテンツにも対応しています。
企画から制作まで一貫して相談できる制作会社を選ぶことで、社内の負担を抑えながらIR動画を制作しやすくなります。
よくある質問(FAQ)
IR動画はYouTubeに公開すべきですか?
個人投資家との接点を広げる方法の一つとして、YouTubeでの公開を検討できます。決算説明会などに参加できない人にも動画を通じて情報を届けられる点がメリットです。
ただし、公開前には社内の情報開示ルールやIR部門の方針などを確認しておく必要があります。
IR動画の再生数を伸ばすコツはありますか?
タイトルやサムネイルで動画の内容を分かりやすく伝えることがポイントです。また、動画の冒頭で重要な情報を提示し、視聴者が内容を理解しやすい構成にすることも重要です。
さらに、長尺動画からショート動画を切り出して複数の入口を用意することで、本編動画への誘導につなげられます。
決算説明会をショート動画化する際の注意点は?
数字や決算内容の見せ方には特に注意が必要です。情報の切り取り方によっては、実際の決算内容とは異なる印象を与える可能性があります。
要約する際は複数人で内容を確認し、誤解を招く表現になっていないかチェックしましょう。
IR動画の費用相場はどれくらいですか?
決まった価格表はなく、動画の内容によって金額に幅があります。出演者の有無やアニメーション制作の工数、編集ボリュームなどが主な価格差の要因です。
おおよその費用感は、動画の種類や制作規模によって大きく変わります。前述の比較表を参考にしてください。撮影を伴う動画の料金については、動画撮影の料金相場もあわせてご確認ください。
個人投資家向けと機関投資家向けで動画を分けるべきですか?
個人投資家と機関投資家では、求められる情報量や分かりやすさなどが異なるため、ターゲットに合わせて動画の内容を調整することが重要です。
個人投資家向けでは事業内容や決算情報を分かりやすく伝えることを重視し、機関投資家向けではより詳細なデータや経営戦略を扱うなど、視聴者に応じて構成を検討するとよいでしょう。
まとめ
IR動画は、YouTubeでの公開とショート動画による情報発信を組み合わせることで、個人投資家との接点を広げる方法の一つになります。
構成(絵コンテ)を固めてから撮影・編集を行い、公開後は長尺動画とショート動画を使い分けるなど、目的に合わせた配信設計を行うことが重要です。
また、IR動画は決算発表など公開日が決まっているケースも多いため、公開日から逆算して余裕を持った制作スケジュールを組むことも欠かせません。
社内だけでの制作が難しい場合は、IR動画の制作実績や企画力を持つ動画制作会社への依頼も選択肢になります。
Crevoでは、IR動画の企画から構成、撮影・編集、配信を見据えた動画制作まで一貫してサポートしています。IR動画の制作やYouTubeでの活用についてお悩みの場合は、ぜひ一度ご相談ください。
「誰に、何を、どのように伝えるか」を明確にすることが、IR動画を効果的に活用するための基本です。さらに、YouTubeやショート動画などの媒体を目的に応じて使い分けることで、個人投資家との接点を広げやすくなります。今回ご紹介したポイントを参考に、自社に合ったIR動画の配信方法を検討してみてください。
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