研修動画の作り方から活用イメージまで徹底解説

本記事では、「研修動画の活用イメージ」「制作の流れ」を解説します。
ここで解説する内容を参考にして、研修動画作成にお役立てください。

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2024年5月24日(金)13:00 ~ 13:20

研修動画とは

研修動画とは、従業員の教育や意識の向上を目的として、企業が導入する動画コンテンツのことです。

従来、企業の研修はテキストと講師による集合型の講義で行われてきました。その一部を動画に置き換えることで、コストの削減や受講効率のアップなど様々なメリットが期待できます。

動画による研修は受講の状況が管理しやすく、個々の進捗や再生回数、再生頻度など把握したデータを活用して、研修の精度を高めていくことにも効果を発揮します。

コロナ禍でテレワークへの移行が加速した背景

2020年にはCOVID-19(新型コロナウィルス)禍の影響から、社会全体でリモート化、テレワーク化が進みました。感染症拡大を避けるため非3密(密集・密閉・密接)が推奨され、一つの部屋に集合して講義を受ける集合研修も、テレワークへの移行が求められました。

また時を同じくして、政府主導による「働き方改革」の考え方が浸透しました。DX(デジタルトランスフォーメーション)の波と共に、時間や場所にとらわれないワークスタイルが一般的に広まっています。

研修動画とオンライン集合型研修の違い

テレワークの進展で普及したリモート型研修には、2つのスタイルがあります。ひとつは、あらかじめ作成された動画を、受講者が指定された期間内に視聴する「動画研修」です。

もうひとつは、決められた日時にZoomやTeamsなどの遠隔アプリを用いて、オンラインで受講する「オンライン集合型研修」です。後者には、リアルタイムで講義を受けるライブ型も含まれます。

この記事で解説する「研修動画」は、視聴者側で再生して受講する「動画研修」タイプの動画について述べていきます。

研修動画の活用イメージ

研修動画は、音声・文字・画像・動画を組み合わせ、視聴覚を通じて感覚的に訴えるものです。うまく構成された研修動画は、単なるテキストや講義に比べて高い効果が得られます。

業務に必要な基本的な事項やマニュアルなど、社内で共有しておくべき事案を動画化する事例がよく見られます。初めて見る人でも記憶に残りやすく、何度も参照できるため効率的に活用ができます。

業務効率化マニュアル動画

業務を進めるうえでの、標準的な手順を解説する動画です。

組織として効率よく業務が進められるよう、受講者がそのシステムを理解し、戸惑うことなく活用できることを目的とするものです。部署や勤務地が複数存在する組織でも、これにより一律的な業務の効率化・標準化の共有が可能です。

商品・サービス関連マニュアル動画

取り扱っている商品やサービスは、業種・業態によって千差万別です。たとえばカフェであれば、メニューとその調理方法、器具の手入れ方法などを知っておかなくてはなりません。

家電販売店のように多種多様な商品知識が求められる場合もあります。警備員などは対象とする施設の配置や主要な場所への誘導の仕方、緊急時対応などサービスの範囲が広いものです。

業務の主要な部分を占めるこれらについて、学習を深めるのが「商品・サービス関連マニュアル動画」です。

新入社員導入研修動画

新入社員が基本的に知っておくべきルールは、毎年大きく変わるものではありません。

会社の沿革や理念、組織体制や事業内容など、全社で共有する基本的な事柄がその中心となるため、異なる地域や部署でもほぼ共通の内容となります。

そのなかでも、「新入社員導入研修動画」は最もベーシックで共有がしやすいものといえます。

コンプライアンス研修動画

昨今重要性が高まっているのが、「コンプライアンス研修動画」です。

法令遵守と訳されるコンプライアンスですが、個人情報管理やハラスメント対策など、その範囲は広いものとなります。SNS投稿など個人の安易な行動が、組織全体に大きな影響を及ぼすことも少なくありません。
すべての従業員に自覚と注意を促す意味から、実例で解説する動画が分かりやすく有効です。

セールス・教育関連マニュアル動画

販売時における商品説明の仕方や接客態度、身だしなみなど、ビジネスの現場では従業員個々が企業の人的媒体(メディア)となる場合があります。お客さまに対しなぜそうするのか、なぜそうした態度で臨むのか、を理解し望ましい姿をイメージしてもらうのにも、研修動画が効果的です。

集合研修ではその場一回限りで終わってしまう内容も、動画なら繰り返し視聴でき、不明点の確認・復習が可能です。

研修動画の形式にも種類がある

研修動画には、その構成や作り方の点でいくつかの種類があります。大きく分けると、

  • ストーリー仕立てで現場の取り組みや対応を見せていく「ドキュメンタリー形式」
  • 手順ごとに項目を章立てで解説していく「マニュアル形式」
  • 講師が前面に出て内容を解説していく「セミナー形式」

の3つに分類できます。

ドキュメンタリー形式の動画

NHK制作の「プロジェクトX-挑戦者たち」や「プロフェッショナル 仕事の流儀」を思い浮かべていただくと、どのようなものかイメージしやすいでしょう。

問題点や課題に取り組む様子をドキュメンタリーで再現することにより、身近で現実に行われている取り組みが共有、理解されていきます。

教育機関が作成した既製の研修動画も発売されていますが、自社オリジナルのドキュメンタリーであれば、臨場感を伴って業務にすぐ反映できる内容が盛り込めます。

企業トップや異なる部署へのインタビューを交えることで、意識の共有や一体感の形成も促進されるので効果的です。

マニュアル形式の動画

「こうした場合は、このように進めます」「このシステムはこう取り扱います」といった、標準化された業務について視聴覚で解説するものが、マニュアル形式の動画です。

マニュアルは多くの場合、印刷物やネット上の共有ファイルなどでも用意されています。しかし音声や動く映像を伴う動画で補完することにより、見る人は一層記憶しやすく、理解が深まります。

またマニュアル動画を「原典」とすることで、現場指導者によりやり方が変わったり、部署や地域ごとでの展開が異なったりすることが防げます。

そのため、制作に際しては現場での再現性が高くなるような構成が求められます。

セミナー形式の動画

目の前で講義を受けているかのような形式の動画が「セミナー形式」動画です。実際に行われた講義を収録してアーカイブするタイプのものと、テレビの教育番組のようにカメラの前で講師が解説するのを録画したタイプがあります。

(※リアルタイムのセミナーをリモートで視聴するライブ型もありますが、ここでは含めません)

実際のセミナーに比べて、要点を文字や図表画面で強調したり、板書を部分的にクローズアップしたりできるため、流れにメリハリがついて印象に残りやすくなります。

ですが、実際の講義と異なり質疑応答など双方向でのコミュニケーションができないため、チャットやQ&Aなど双方向チャネルを別途用意しておくと、さらに効果的です。

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研修動画を制作するために必要な準備

この章では、研修動画を制作する際に必要な準備とその手順を

  • 研修のゴールを明確にする
  • 必要な動画本数と各テーマを決める
  • 動画の形式・編集ソフト・機材や制作会社を選ぶ

の順に説明します。

研修のゴールを明確にする

研修動画制作にあたってまず大事なことは、「何のためにその動画を作るのか」という目的の設定と、「見た人にどうなってほしいのか」というゴールを明確にすることです。

新人研修であれば「会社や仕事の仕組みを理解する」ことがゴールになります。コンプライアンスやマニュアルに関する動画研修の場合は「やってはいけないこと、やるべきことが理解できたか」「業務に反映できる習得レベルが確保できたか」がゴールです。

研修の目的や対象者によってゴールのレベルは変わります。ゴールを目指して適切に研修の内容やコンテンツを構成し、プログラム化することが必要です。

研修終了後に簡単なテストを行ったり、日々の業務に活かせているかチェックするなど、検証とPDCAを可能にする意味でもゴールの設定は重要です。

必要な動画本数と各テーマを決める

たとえば「新入社員に基本的な業務知識を習得してもらう」というゴールを設定したとしましょう。そのゴールを実現するには、「自社に関する基礎的知識の共有」「企業理念と会社が目指す中長期戦略、ビジョンの共有」「商品・サービスと市場の理解」「業務遂行上のルールの理解」などの、複数のサブテーマが必要となります。

そこで動画作成にあたっては、ゴールに必要な構成要素をロジカルに分解する作業を確実に行いましょう。いくつテーマが必要なのか、全部で何本構成にするのか、などを検討して、動画研修の全体像を設計していってください。

動画の形式・編集ソフト・機材や制作会社を選ぶ

ゴールとテーマ、制作する本数が決まったら、実際の制作に入ります。外部の制作会社に発注する場合と、社内で制作する場合とがありますが、いずれの場合もどのような内容、構成にするのかに関してこの段階でよく検討する必要があります。

クリエイションの前提として、上にあげた3つの形式のどのタイプを選ぶのか、編集に用いるツール(ソフト)は何を選定するか、どのような機材を使用するか、を決めなくてはならないからです。

そしてそれらの選定に際しては、設定した目的やゴール、撮りたい動画のイメージ、素材などが大きく影響するためです。

動画の形式を選ぶ

目的や対象者に合わせて、「ドキュメンタリー形式」「マニュアル形式」「セミナー形式」の3類型のどれが最も効果的か、を検討します。具体的なモデルになりそうな社内の事例や事業所、出演者など素材やリソース、コンテンツを把握して、必要な本数分の動画形式を決めてください。

ここから、動画研修プロジェクトにおける具体的な全体設計がスタートします。

動画編集ソフトを選ぶ

自作で動画編集を行う場合、ソフトの選定は重要です。

継続的に新たな動画制作や編集に用いられるため、使い勝手や習熟の難易度・エフェクトの範囲・データ容量の軽重や動かしやすさ・オペレータのストレスなど注意すべき点が多いからです。

担当者がいなくなっても容易に引継ぎが可能で、作成済み動画の再編集やバージョンアップもしやすいよう、あらかじめ十分に検討してください。
OSや社内システムとの適合性、外注先との連携の適性も重要です。

撮影機材を選ぶ

撮影機材は、どのような動画を撮りたいかによって、必要条件が変わります。室内の映像が中心なのか、屋外で動きの速い動画を撮るのか、撮影対象が映えるような照明が必要か、などといった条件をリストアップし、マッチする機材をセレクトしてください。

必要以上にハイスペックな機材でなくても構いませんが、機動性や汎用性、耐久性も考慮し、ある程度信頼のおける機材を選ぶことをお勧めします。

制作会社を選ぶ

研修動画の制作を外部の制作会社に依頼する場合は、企画している研修動画の内容や傾向を理解し、撮影の目的や意図を共有できるチームを選定しましょう。

また

  • 業界や市場に関する知識、理解が十分にあるか
  • これまでの実績をしっかり提示してくれるか
  • トップや担当部署の熱意・熱量に共感してくれるか
  • 秘密保持やセキュリティ管理に信頼がおけるか

という点も重要です。

制作コストを抑えることも大切ですが、そこを重視するあまりクオリティや信頼性が二の次になるのは本末転倒です。

研修動画を作成する際の流れ

前章「研修動画を制作するために必要な準備」の項で、「必要な動画本数と各テーマを決める」プロセスを解説しました。これは、対象者と目的に合わせて、目指すゴールを達成するために必要な要件を抽出するものでした。

これを元に、次の段階では具体的に研修動画の作成を行っていきます。全体の流れとしては、

  • テーマと構成を考える
  • 閲覧方法や配布方法を決める
  • 絵コンテを作る
  • 研修資料を作る
  • 出演者を集めて撮影する
  • 映像を編集する

という手順で進めていきます。

テーマと構成を考える

設定したテーマに対し、コンテンツの構成をどのように作り込んでいくか、一本の動画の中でどんなストーリーに仕立てていくか、というシナリオの流れを作る作業です。たとえば「標準的な接客について、お声がけからクローズまで学習する」というテーマであれば、どんな内容をどのくらいの時間配分で盛り込むかについて、選んだ動画の形式に合わせて考えていきます。

閲覧方法や配布方法を決める

研修動画の視聴に際しては、閲覧や配布の方法が大きく影響します。この記事では、ユーザー側が端末を操作して動画を視聴するケースを想定しています。

このときユーザーがPCを用いるのか、タブレットやスマートフォンなのか、あるいはイントラネットにログインした状態での閲覧に限定するのか、一定期間のみ有効なパスワードの入力を要求するのか、など閲覧条件をあらかじめ決めておく必要があります。

ユーザー側のOSのバージョンやデータ容量、通信スピードによって不具合が出ないよう、システムの適性や整合性をあらかじめ検証して、閲覧方法や配布方法を確定しましょう。

絵コンテを作る

「テーマと構成を考える」段階で、おおまかなシナリオのイメージを構想しました。これに基づいて、詳細な「絵コンテ」を作成します。映画監督になったつもりで、シーン構成とカット割りを作ってください。コマ割り形式で具体的な「絵づら」を連続的に描いていき、そこに台詞やナレーション、字幕や効果音などの必要要素を書き込んでいきます。

必ずしも上手な絵である必要はありませんが、スタッフや出演者がイメージを的確に共有できるよう、できる限り細かく作り込んでください。

研修資料を作る

「研修資料」とは、研修動画の中で用いる説明用のスライドや図表、グラフなどをいいます。別途PDF化したものをアーカイブして、ユーザー側で参照したりダウンロードできるようにする場合もあります。
セミナーやドキュメンタリーなどといった動画の形式にかかわらず、フローチャートやインフォグラフィックスなどを適切に用いることで、テーマの理解が一層深まります。視聴後の復習や参照も容易になります。

出演者を集めて撮影する

いよいよ撮影です。機材が問題なく作動するか、絵コンテで想定した時間通りに収まるか、事前にリハーサルを行ってください。

ポイントの箇所をズームで捉えたり、固定したカメラの視界に外から人が入るフレームイン、時間を巻き戻すように逆再生する手法など、撮影にはさまざまなテクニックがあります。

視聴者が興味を持って見続けられるよう、工夫をこらしてください。カットは長めに、複数の視点で押さえておくと後で編集する際に便利です。

内容によっては、出演者の衣装やメイク、小道具の係も必要です。時間を有効に使えるよう、スケジュール管理にも十分注意してください。

映像を編集する

撮り終えた映像を編集して、動画を完成させます。

最近では初心者が投稿したYouTubeでも、効果的な音声やBGM、字幕や文字表現を巧みに用いて演出している例が少なくありません。

これらを見慣れた現代のユーザーは眼が肥えています。1カットの長さやストーリー運びのテンポなどにも留意し、テーマに照らして映像素材が最も活かせるような編集を心がけてください。

動画完成後に必要な作業

研修用の動画が完成して、これで終わりではありません。対象者に動画を視聴してもらい、最初に設定したゴールを達成するために行うことがあります。

PDCAのサイクルを意識して効果測定を行い、次の動画制作に活かしていくことが大切です。

動画配信の周知

研修動画の視聴は、社内教育の一環です。総務や人事・広報・情報システムなど関連する部署や、対象者の所属組織の協力を得て、配信のリリースを社内に周知します。
どの対象者に何本の研修動画が用意されているのか、配信時間はどのくらいか、視聴すべきタイムリミットはいつまでか、など動画研修に関するスケジュールと配信方法を知らせることが必要です。

不明点の照会やトラブルの発生に備えて、問い合わせ先を明記しておくことも忘れないでください。

また、動画配信による研修の取り組みを株主や外部マスコミにニュースリリースすることで、企業価値の向上に資する場合もあります。機密保持に触れない範囲で、内容を公開することがおすすめです。

効果測定

動画研修導入のそもそもの目的は、設定したゴールの達成です。どの程度達成できたのか、目標の性質に応じて定性・定量調査を行ってください。

測定の項目としては

  • 用意した動画が最後までしっかり視聴されたか(長さは適切か)
  • 内容は狙い通り理解されたか(分かりやすかったか)
  • 想定した期間で視聴が完了したかト
  • 視聴前と後で対象者にどんな変化があったか

などが考えられます。

またアクセスログを解析することで、動画再生の頻度や再生回数、再生が集中する時間帯などのデータを計測できます。より効果のあるプログラムにするために、データをうまく次回に活用していきましょう。

更新時期や修正内容の確認

社内体制や環境の変化、新商品の投入や新規事業・部署の創設など、研修動画を更新・修正すべきタイミングがあります。効果測定調査の結果と照らし合わせて、どの動画をいつ更新するのかについて、あらかじめ決めておくことも重要です。

効果測定の結果次第では、内容を部分修正したり撮り直したりする必要も生じます。シーズンイベントや人事異動など、教育研修は社内の状況と密接に関係します。

思わぬトラブルが発生しないよう、更新や修正は計画的に行ってください。

効果的な研修動画を作成するコツ

この章では、効果的な研修動画を作成するコツ(テクニック)を7つ、紹介します。娯楽作品としての動画ではなく「ゴールという目的達成をめざす教育効果」が狙いです。
ポイントは「ユーザーの心理的障壁を低くする」「制作側の負担を軽減する」「楽しめるものにする」という点に集約できます。

短い動画を複数作る

人間の集中力には限界があります。視聴環境をリモートでユーザー任せにする場合は、なおさらです。長すぎる動画は途中で飽きられたり、内容が頭に入ってこなかったりする危険を伴います。

そこで、複数の章立てが必要な動画は、たとえば独立した別の動画として編集するなどの工夫が効果的です。1本あたりの長さはせいぜい数分から10分程度に抑え、数を増やす方が視聴者の負担になりません。絵コンテのフォーマットを共通のものにすれば、制作の手間も軽減できます。

静止画や図・テキストを織り交ぜる

画面にメリハリのない動画は、見ていて飽きやすいものです。特に、講師が内容を説明するセミナー形式の動画は、画面変化が乏しいものになりがちです。

そこで、写真やイラスト(静止画)、アニメーション、図やグラフ、テキストなど多様な素材を動画に織り交ぜて構成しましょう。

テキストを表示する場合でも長い文章にせず、フォントや文字サイズに気を配り、伝わりやすいものにしてください。

図表などに使用する色も重要です。不用意に色を多用せず、ここぞと強調したい部分に強めの色を用いると印象に残りやすくなります。

具体的な目標を明確にする

動画研修の目的は、ゴールの実現です。

規則・規範や標準の業務、知識などが問題なく理解され、それらが日々の仕事に反映される状態を目指すものです。ただ観て「面白かった」だけで終わってしまっては、意味がありません。

そこで視聴する動画が何のために制作され、何を目指すのかという「ゴール」について、ユーザーの視線・立場から示すことが有効です。動画の冒頭や最後では、その自覚を促す働きかけを工夫してください。

能動的に考えさせる工夫をする

受講者が一堂に会し、講師と双方向で話したり、ワークショップ形式でアクションを伴うこともある集合研修と異なり、動画研修では一方的に視聴する「受け身」状態になりがちです。
そこで、ユーザーが自ら能動的に考えざるを得ないような、何らかの工夫を動画に取り入れたいものです。

たとえば

  • 事例学習のあとに、自分の職場に置き換えた場合のケーススタディの課題提出を用意する
  • クイズ形式の質問画面を表示し、考える時間を置いてから正解を見せる
  • 事前に配布したワークシートを各自が手元に用意し、自分の考えを書き込むよう促す

といった類のアクションです。アンケート調査などを重ね、目的やテーマに合わせてユーザーの関心を呼ぶ工夫を展開してください。

後から編集できるようにしておく

最初から最後まで同じ登場人物がいないと成立しないようなストーリーは、修正やアップデートがしにくいものです。

講師が手に持って説明するパネルの図表が古くなってしまった場合なども、再度新しいものに替えて撮り直さなくてはなりません。

こうした事象を防ぐため、あらかじめ講師の解説部分と図表を切り離した構成にするなど、後日の編集に備えた動画づくりをしておくと便利です。

このほか

  • 始まりと終わり、章と章の間の切り替え画面など、標準的なフォーマットを決めておく
  • 連続した動画ばかりにせず、インターバルを差しはさむ

など改変や再編集を前提に制作する視点を、忘れずに意識しておきましょう。また制作時に使用した素材や元データ、資料などは同じファイルにまとめてアーカイブしておくと便利です。

閲覧環境に配慮する

閲覧方法・配布方法の章でも触れましたが、ユーザーの動画再生環境は必ずチェックしておくべきことのひとつです。

OSや再生ソフトのバージョンが古かったり、メモリ不足で視聴に支障が出ると望ましい研修が行われません。再生端末側のセキュリティ対策についても、問題がないか確認しておきましょう。

スマートフォンなど小さな画面で閲覧する場合の動画の見え方、音量についても配慮が必要です。

YouTubeに掲載し、認知度向上を図る

社内報を外部にも公開する「オープン社内報」で、開かれた企業イメージの生成や求職者への訴求に成功している企業があります。

同じように、研修動画をYouTubeなど外部の動画プラットフォームを利用して公開するのも、効果的です。

ただし、なぜその動画を公開するのか、それによってどのような効果が期待できるか、を明確にしておきましょう。無意味に公開しても情報漏洩のリスクがあったり、再生回数が伸びずかえってマイナスイメージになる場合があるからです。

研修用の動画を部分的に抜き出したり、編集したりして外部向けに作り変えるのもよいでしょう。公益性の高いもの、専門的なコンテンツなどは社会から歓迎される可能性があります。

社員研修に動画を取り入れる上での注意点

これまで述べてきたように、研修動画には多くの利点や特性があります。うまく活用することで、楽しく充実した社員研修が実施できます。
しかし、一方でデメリットがないわけではありません。以下にいくつかの注意点を解説します。

動画制作に時間がかかる

「研修動画を制作するために必要な準備」「研修動画を作成する際の流れ」の章でも解説したように、研修動画は一つの映像作品です。

たとえ数分から10分程度の長さだとしても、企画を立て構成を作り、機材をそろえて撮影・編集して公開するまでには相応の手間と時間がかかります。

公開を急ぐあまり十分な検討をせず、拙速で取り組むと思わぬアクシデントやミスが発生します。人材育成や社員教育のビジョンをもとに、シーズン単位で計画的に制作と公開のスケジュールを組んで臨みましょう。

すぐに修正できない

公開済みの動画の中に問題が見つかった場合は、急いで対処しなければなりません。

部分的な差し替えで済む場合はそれほど時間がかかりませんが、全体に影響するようなケースでは一旦公開を中止し、再撮影や再編集となります。リアルな集合研修ならその場ですぐに訂正できるようなことも、動画研修では不可能です。

これを防ぐには、入念な事前チェックしかありません。制作チームでのチェックやテスト視聴を行って、できるだけミスのない状態で公開しましょう。

前章で述べたように「後から編集できるようにしておく」視点も忘れてはなりません。

リアルタイムでの質疑応答ができない

集合研修では、講師によく理解できなかった点などを質問し、学習を深めることができます。

動画研修では視聴する立場のユーザーは受け身になるため、不明な点を積み残したままだったり、自分に置き換えたときの疑問が残ったりする場合も少なくありません。

こうした点を補完するために、メールやチャットで質問を送れる「問い合わせ先」を明示しておくとよいでしょう。

また、アンケートシートや質問シートをイントラネットで共有できるようにしたり、受講者同士のコミュニティルームで相互にディスカッションできるような環境を整えるのも効果があります。

受講者の部署の上長や担当部署のスタッフは、滞りなく受講ができるよう常にサポートできる体制を心がけてください。

まとめ

本記事では、「研修動画の活用イメージ」「制作の流れ」を解説しました。

研修動画の活用イメージや制作の流れがイメージできたかと思います。企業内で研修用の動画を作成する際は、まず最初の段階での企画がとても重要です。

社内での動画制作に慣れているチームは別として、経験が少なかったり知識や人材が足りていない場合は、プロの力を借りることもひとつの手段です。導入の目的や規模、予算や期間などに応じて、どの程度関わってもらうかを相談し、最も効率的で効果の高い研修動画制作を目指しましょう。

執筆者

VIDEOSQUARE編集部
VIDEOSQUARE編集部
VIDEOSQUAREは、「動画制作・映像制作」「動画マーケティング」「動画活用」「動画トレンド」などに関連したトピックを取り扱うオウンドメディアです。業界トップクラスである2,000社10,000件の動画制作実績から培ったノウハウとビジネス理解力で高い企画力を低価格で提供できる動画制作会社、「Crevo株式会社(クレボ)」が運営しています。

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