
「決算資料を作ったけれど、投資家に伝わっているのか不安……」「専門用語ばかりで、個人投資家には難しすぎるかもしれない……」。IR担当者であれば、こうした悩みを抱えたことがあるのではないでしょうか。
上場企業として情報開示は欠かせないものの、伝え方一つで投資家の理解度は大きく変わります。専門知識が少ない読み手にどう伝えるかと迷ってしまいますよね。
実は、伝わるIRコンテンツには共通した「構成」と「企画」のコツがあります。この記事では、個人投資家にも伝わるIRコンテンツの作り方を、費用の目安も含めてわかりやすく解説します。
IRコンテンツとは?投資家に情報を届ける基本を解説
IRコンテンツとは、企業が投資家に向けて発信する情報発信物全般を指します。決算内容や事業戦略、成長性などを伝え、投資判断の材料としてもらうことが目的です。
具体的には、決算説明資料などの「IR資料」、事業内容や経営者メッセージを伝える「IR動画」、企業サイトやニュースリリースに掲載する「IR記事」など、媒体はさまざまです。
従来は機関投資家向けの資料が中心でしたが、近年は個人投資家にも企業情報をわかりやすく伝えることが重要になっています。専門知識が少ない読み手にも理解してもらえるよう、平易な言葉や図解、動画などを活用した伝え方が求められます。
動画による情報発信の基本については、動画制作の基本ガイドでも詳しく解説しています。まずは自社が発信すべき情報の種類を整理することが、わかりやすいIRコンテンツ制作の第一歩です。
IRコンテンツ制作で失敗しないための3つの注意点
IRコンテンツ制作では、担当者が気づかないうちに陥りやすい失敗パターンがあります。事前に注意点を押さえておくことで、伝わらない資料になるリスクを減らせます。
- 専門用語を減らす:財務用語や業界用語は、できるだけ平易な言葉に言い換える
- 情報を詰め込みすぎない:優先順位をつけ、伝えたいメッセージを絞り込む
- ターゲットを明確にする:個人投資家・機関投資家など、誰に向けたコンテンツかを最初に決める
これら3点は、どれも「作り手側の目線」に偏ってしまうことが原因で起こりやすい失敗です。常に読み手の立場に立ち返ることを意識してください。
「誰に向けた情報なのか」を明確にしてから内容を設計することが、IRコンテンツをわかりやすくする基本です。
わかりやすいIR資料を作る構成のコツ
IR資料の構成に迷ったときは、ビジネスシーンで広く使われるPREP法が役立ちます。Point(結論)として、まず「この資料で伝えたいこと」を提示します。Reason(理由)でその背景を説明し、Example(具体例)として数値データや事例を示します。最後に再びPoint(結論)でまとめ、印象づけます。
この流れに沿って構成すれば、投資家は資料の冒頭で「何を得られる資料なのか」を理解しやすくなります。結果として、途中で読み飛ばされるリスクを抑えることにもつながります。
「何を伝えるか」を先に決め、その情報を理解しやすい順番に並べることが、IR資料の構成を考えるうえで重要です。
より詳しい構成(絵コンテ)の作り方については、映像制作の構成案の作り方も参考にしてみてください。
ビジネスモデルを投資家に伝える工夫
事業内容やビジネスモデルは、文章だけで説明しようとすると複雑になりがちです。特に複数事業を展開している企業の場合、収益構造を言葉だけで理解してもらうのは難しいものです。
そこで役立つのが図解です。事業ごとの関係性や収益の流れを一枚の図にまとめることで、投資家は短時間で全体像を把握しやすくなります。
また「サブスクリプション型(継続課金型)」のような専門語も、図と併せて平易に言い換えることで理解を促せます。文字情報と図解を組み合わせることが、伝わりやすさを高めるポイントです。
複雑なビジネスモデルほど、文章だけでなく図解を活用して視覚的に整理することを意識しましょう。
成長戦略の伝え方
成長戦略は、単なる数値目標の提示だけでは投資家の納得を得にくい部分です。「市場環境」「数値目標」「具体的な施策」の3点をセットで説明すると、ストーリーとして伝わりやすくなります。
まず市場がどのように変化しているかを示し、その中で自社が目指す数値目標を提示します。そして、その目標を達成するための具体的な施策を続けて説明します。
「なぜその目標を掲げるのか」「どうやって達成するのか」まで示すことで、成長戦略をより具体的に伝えられます。
数値目標だけでなく、その背景と達成までの道筋をセットで伝えることが、投資家の理解を促すポイントです。
決算の数字をわかりやすく見せる工夫
決算説明資料で伝わりにくくなりやすいのが、数値そのものの見せ方です。表形式で数字を並べるだけでは、専門知識がない読み手にとって変化の意味が分かりにくい場合があります。
前年同期との比較をグラフ化し、増減を視覚的に示すことで、数字の意味を直感的に理解してもらいやすくなります。棒グラフや折れ線グラフなどを使い、「何を伝えたいグラフなのか」を明確にすることが重要です。
数字をただ並べるのではなく、「数字から何が読み取れるのか」まで伝えることを意識しましょう。
IRコンテンツの企画の立て方
わかりやすいIRコンテンツを作るには、制作に入る前の企画段階が重要です。行き当たりばったりで作り始めると、途中で方向性がぶれてしまう可能性があります。
企画は、次の4つのステップで整理すると進めやすくなります。
- 目的設定:そのコンテンツで何を達成したいのかを明確にする
- ターゲット設定:機関投資家、個人投資家、既存株主、新規投資家など対象を定める
- メッセージ整理:最も伝えたい要点を絞り込む
- 媒体選定:資料・動画・記事など、目的に適した形式を選ぶ
この4ステップを踏むことで、制作途中の方向転換や作り直しといった手間を減らしやすくなります。制作前に目的とターゲットを明確にすることが、効率的なIRコンテンツ制作につながります。
「目的→ターゲット→メッセージ→媒体」の順番で整理することを意識すると、制作の方向性を決めやすくなります。
IRコンテンツの制作方法を比較
IRコンテンツの制作方法には、大きく3つの選択肢があります。自社制作、外部デザイン会社への資料デザイン依頼、動画制作会社への動画・コンテンツ制作依頼です。
それぞれ専門性や費用感が異なるため、自社の目的や社内体制に合わせて制作方法を選ぶことが大切です。
| 制作方法 | 専門性・伝わりやすさ | 制作スピード | 費用相場(目安) | 投資家への訴求力 |
| 自社制作 | △ | ◯ | 数万円〜(社内人件費が中心) | △ |
| 外部デザイン会社への依頼 | ◯ | ◯ | 数十万円〜が目安 | ◯ |
| 動画制作会社への依頼 | ◎ | △ | 数十万〜百万円台が目安 | ◎ |
費用相場に幅があるのは、企画内容の複雑さや映像制作の有無、修正回数などによって必要な工数が変わるためです。決まった価格表があるわけではないため、依頼内容を整理したうえで見積もりを確認することが重要です。
外注先の選び方に迷う場合は、動画制作会社の選び方も参考にしながら、自社の目的に合った方法を選んでください。
IRコンテンツ制作の費用と納期の目安
IRコンテンツ制作の費用には、決まった価格表がありません。企画内容の難易度や映像制作の有無、修正回数などによって金額は変わります。
目安としては、資料デザインのみであれば数十万円台、映像を含む場合は数十万〜百万円台となるケースがあります。ただし、実際の費用は制作内容や仕様によって異なるため、あくまで目安として考えることが大切です。
価格差が生まれる主な理由は、次の3つです。
- 企画内容:シナリオ設計や取材などの有無によって工数が変わる
- 映像制作の有無:撮影やアニメーションなどを含むと費用が上がりやすい
- 修正回数:確認・修正の往復が多いほど工数が増える
撮影を伴う場合の費用相場は動画撮影の料金相場、制作にかかる期間の目安は動画制作の納期の目安で詳しく解説しています。
納期については、企画から完成まで1〜2ヶ月程度が目安となる場合があります。決算発表などのスケジュールが決まっている場合は、公開日から逆算して早めに制作を開始することが重要です。
費用だけで判断せず、必要な品質・制作期間・社内工数まで含めて検討することがポイントです。
IRコンテンツに動画を活用するメリット
IRコンテンツでは、資料だけでなく動画を活用する方法もあります。動画は映像や音声を組み合わせられるため、文章だけでは伝えにくい事業内容や経営者のメッセージを表現しやすい点が特徴です。
特に複雑なビジネスモデルや成長戦略を説明する場合、図解やアニメーションを組み合わせることで、情報の関係性を視覚的に整理できます。
また、経営者自身が出演する動画であれば、企業の考え方や事業への思いを直接伝えられることもメリットです。
ただし、動画を制作すれば必ず効果が高まるわけではありません。目的やターゲットを明確にしたうえで、資料・記事・動画などから適した形式を選ぶことが重要です。
動画制作の基本については、動画制作の基本ガイドをご覧ください。
動画ありきで考えるのではなく、「動画で何を伝えるのか」を明確にすることが、IRコンテンツへの動画活用では重要です。
よくある質問(FAQ)
IRコンテンツ制作にはどれくらいの費用がかかりますか?
決まった価格表はなく、企画内容や映像制作の有無によって費用は大きく変わります。資料デザインのみなら数十万円台、映像を含む場合は数十万〜百万円台が目安となるケースがあります。
価格差は、企画の複雑さ・撮影の有無・修正回数などによって生まれます。具体的な費用を把握するには、制作したいコンテンツの内容を整理したうえで見積もりを確認するとよいでしょう。
IR動画は個人投資家向けにも活用できますか?
動画は、事業内容やビジネスモデルなどの情報を視覚的に伝えられるため、個人投資家向けのIRコンテンツにも活用できます。
ただし、効果の大きさは業種やターゲット、動画の内容や配信方法によって異なります。動画を制作すること自体を目的にするのではなく、「誰に、何を理解してもらいたいのか」を明確にすることが重要です。
個人投資家が理解しやすい言葉や図解を取り入れることも、IR動画を制作する際の重要なポイントです。
IRコンテンツ制作にはどのくらいの納期が必要ですか?
企画から完成までは、1〜2ヶ月程度が目安となる場合があります。企画立案・構成作成・制作・確認と修正などの工程を経るため、一定の期間が必要です。
決算発表など公開日が決まっている場合は、スケジュールから逆算して早めに制作会社へ相談することをおすすめします。
詳しい進め方は動画制作の納期の目安をご覧ください。
専門用語はどこまで平易にすべきですか?
個人投資家向けのコンテンツでは、専門用語をできるだけ分かりやすく説明することが重要です。どうしても専門用語を使用する場合は、括弧書きで簡単な説明を添えるなど、読み手が意味を理解できる工夫をしましょう。
ターゲットの知識レベルに合わせて言葉選びを調整することが、伝わりやすさを左右するポイントです。
「社内では当たり前の言葉」でも、投資家には伝わらない可能性があることを意識しましょう。
外部に依頼する際、事前に何を準備すればよいですか?
依頼前には、目的・ターゲット・伝えたいメッセージの3点を整理しておくとスムーズです。
- 何のために制作するのか
- 誰に向けて発信するのか
- 何を最も伝えたいのか
この3点が明確であるほど、制作会社側も目的に合った企画を提案しやすくなります。準備が曖昧なまま依頼すると、制作途中で方向性のズレが生じやすくなるため注意しましょう。
目的・ターゲット・メッセージを事前に整理しておくことが、スムーズな制作進行につながります。
まとめ
わかりやすいIRコンテンツは、専門用語を減らし、情報の優先順位を整理することで伝わりやすくなります。図解やグラフを活用した数字の見せ方や、市場環境から施策までをつなぐストーリー設計も重要です。
また、制作前に目的・ターゲット・メッセージを整理することで、制作途中の方向性のズレを防ぎやすくなります。
自社制作か外部依頼か迷う場合は、自社の目的・社内体制・必要な専門性を基準に制作方法を選ぶとよいでしょう。
Crevoは2,000社・10,000件以上の制作実績を持ち、企画から構成、動画制作までを一貫してサポートしています。IRコンテンツ制作でお悩みの際は、ぜひ一度Crevoにご相談ください。
投資家に伝わるコンテンツづくりでは、情報量を増やすことだけでなく、「誰に、何を、どのように伝えるか」を整理することが大切です。今回ご紹介したポイントを参考に、自社らしいIR発信を形にしていきましょう。
わかりやすいIRコンテンツは、投資家とのコミュニケーションを支える重要な情報発信手段です。目的とターゲットを明確にし、自社に合った資料・動画・記事などの形式を選んでいきましょう。
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