マーケティング

2015年09月10日

ホヴァーボードが作り上げるLEXUSブランド:ブランディングのための動画広告

Scott Nomura

posted by Scott Nomura

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LEXUSが8月に公開したブランディング動画にホヴァーボードが登場して話題となりました。スケートボード大の板が宙に浮き、それに乗ったプロスケートボーダーが技を繰り出すといった内容です。

未来を感じさせるエキサイティングな動画ですが、なぜLEXUSはあえて、車とは直接関係のないホヴァーボードを登場させたのでしょうか。

今回はブランディングの観点から、動画広告について考えてみたいと思います。

ブランディングとは

そもそも、ブランドとは何なのでしょうか。なぜ企業はこぞって、ブランディングに力を入れているのでしょうか。

もともと「ブランド」という単語は、自分の家畜を他人のものと「区別するために押す焼印」のことを指してました。そこから派生して、現在では幅広く企業や商品にも使われるようになったのです。

つまりブランドとは、数多く存在する企業や商品と、自社や自社商品を区別するための印のことなのです。

印には、視覚的に区別するロゴマークや、エモーショナルに区別するブランドイメージなど、様々なブランド要素が含まれます。そして、それらが積み重なり、ブランドを形成します。

そしてブランディングとは、文字通り、ブランドを構築していくための活動を指します。

一般的に、既存の企業や、商品のブランディングを行う場合、すでにロゴ設定やネーミングなどは行われています。ですので、イメージの部分にフォーカスしてブランディングが行われることが普通です。

そして企業や商品のイメージは、売り上げに大きく影響するため、多くの企業がブランディングに力を入れるのです。

たとえば生鮮食品で考えてみましょう。

東京都が行った調査によると、消費者は生鮮食品を購入する際に「鮮度」をもっとも重視しているとのことです。とはいえ、消費者全員が、店頭でパッと生鮮食品の鮮度を見分けられるほど、目が利くとは思えません。

barchart

※参考 東京都実施『食品の購買意識に関する世論調査』(平成22年6月)

そこで重要になってくるのが、「Aという店は鮮度が良い」「Bはそれほどでもない」といった、消費者が各店舗に対して抱いているイメージです。

この「A店は鮮度が良い」と思われていることがブランドイメージであり、「鮮度が良い」と思ってもらうために行う活動が、ブランディングなのです。

ブランドの認知拡大と価値向上の違い

市場が成熟し、商品自体で大きな差別化が図りづらくなってきた中、ブランディングの重要性はますます大きくなっています。

その中で動画広告は、大きく2つの役割を果たすことができます。ブランドの認知拡大と価値向上です。

ブランドの認知拡大はシンプルに言うと、特定の層に定着しているイメージを、より多くの人に知ってもらうことが目的となります。

必然的に、企業/商品特性を語るというよりも、ターゲットの興味に合わせたコンテンツになる傾向があります。

逆に価値向上は、すでに定着しているイメージを、より良くすることが目的となります。この場合は、企業/商品についてしっかりと語り、まだ知られていない良さを知ってもらうようなコンテンツになります。

言うなれば、認知拡大は「広く知ってもらう」で、価値向上は「深く知ってもらう」なのです。

もちろん、認知拡大と価値向上は背反するものではなく、どれくらいの割合でブレンドしていくのかが重要になります。

たとえば、すでに広くイメージが定着している企業であれば、認知拡大よりも価値向上に重きを置くかもしれません。逆に無名の企業であれば、まずは最低限のイメージを、より多くの人に知ってもらうために、認知拡大に重点を置くことでしょう。

ブランディングを行う場合、どちらに軸足を置くのかを企画段階ではっきりとさせる必要があるのです。

LEXUSにとってのホヴァーボード

認知拡大と価値向上を高い次元で両立したのが、LEXUSです。

LEXUSは現在、”AMAZING IN MOTION”というブランドスローガンを掲げています。そして8月、ブランディング動画”The Lexus Hoverboard : It’s here”を公開しました。

LEXUS”The Lexus Hoverboard: It’s here”(2分12秒)

SF映画に出てきそうなホヴァーボードを採用したこの動画は、既に1,000万回以上再生されています。

この「宙に浮いたボード」に、プロのスケートボーダー乗ってトリックを決めるという、スタイリッシュでSF的な動画。認知拡大という観点で考えれば、幅広い層に興味を持ってもらいやすいコンテンツと言えます。

さらに、LEXUSのメインターゲットとなる40代以上の購買層の中には、大ヒットSF映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を覚えている人も多いと思います。

同映画には、印象的なアイテムとしてホヴァーボードが登場します。当時、あこがれを抱いた人も少なくありません。

そう考えると、幅広い層に興味を持ってもらいつつ、メインターゲットには特に刺さる。認知拡大としては理想的なコンテンツと言えるでしょう。

その一方で、ホヴァーボードとLEXUSの結びつきが何となく弱く感じられ、価値向上には繋がりづらいようにも思われます。

ただこの点に関しても、少し考えれば、ホヴァーボードに使われる技術が、未来のモビリティにつながることは想像に難くありません。事実、LEXUSのグローバルブランディング室室長は、インタビューの中でホヴァーカーの可能性を示唆しています。

LEXUSにとってホヴァーボードは、メインターゲットを中心に多くの消費者を惹きつけ、中核事業領域であるモビリティの世界から逸脱せず、革新性と技術力を訴求できる、非常に強力なコンテンツだったのです。

まとめ

市場はすでに成熟し、商品自体での差別化が難しくなっています。動画広告を効果的に活用し、ブランドの認知拡大や価値向上を果たしていくことが重要となります。

LEXUSは膨大な予算と時間をかけ、ホヴァーボードという強力なコンテンツを制作。認知拡大と価値向上を高次元で両立させました。

ただ、予算や時間が限られていたとしても、認知拡大と価値向上のどちらに軸足を置くかはっきりさせることで、リソースを集中投下することができます。

自分たちのブランディングの目的が「広く知ってもらう」なのか、それとも「深く知ってもらう」なのか。さらに、予算や時間などの制約も加味して、両者をどれくらいの割合でバランスさせるのか。

ぜひ、この点を意識したうえで、効率的で効果的なブランディングを目指してみてください。
(文:Scott Nomura)

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参考記事

LEXUSブランドサイト『AMAZING IN MOTION』
東京都調査『食品の購買意識に関する世論調査』
産経ニュース『いずれ「超伝導ホヴァーボード」が街を行き交う未来がやってくるのか』

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