
「IR担当に異動になったけれど、何をすればいいのかわからない……」「IR業務は激務で辛いと聞くけれど、本当だろうか……」。そんな不安を抱える方は少なくありません。
IRという言葉は聞いたことがあっても、具体的な仕事内容までは知らないという方も多いのではないでしょうか。
実は、IR業務は担当する役割ごとに整理すると、全体像をつかみやすくなります。決算資料の作成や説明会の準備、投資家対応、情報開示など、さまざまな業務を横断して担当するのがIR担当者の特徴です。
この記事では、IR業務の仕事内容を中心に、年間スケジュールや必要なスキル、忙しい時期、動画活用のポイントまでわかりやすく解説します。
IRとは?基本の意味と目的
IRとは「Investor Relations」の略で、企業が株主や投資家に対して、自社の経営状況や事業内容、今後の方針などを伝える活動を指します。
IR担当者は、企業が発信する情報を整理し、投資家にとってわかりやすい形で届ける役割を担います。
そのため、単に資料を作成するだけではなく、社内の情報を正確に把握し、必要な情報を適切なタイミングで発信することが重要です。
IR業務を理解するうえでは、まず「どのような業務が発生するのか」を把握するとよいでしょう。
IR担当者の仕事内容
IR担当者の仕事内容は企業によって異なりますが、代表的な業務として以下が挙げられます。
- 決算資料の作成
- 決算説明会の準備・運営
- 投資家・アナリストへの対応
- 情報開示に関する業務
- 株主総会への対応
ここからは、それぞれの仕事内容を詳しく見ていきましょう。
1. 決算資料を作成する
IR担当者の代表的な仕事のひとつが、決算に関する資料の作成です。
決算発表では、売上高や営業利益などの業績数値だけでなく、業績の背景や今後の見通しなども投資家に伝える必要があります。
IR担当者は、経理・財務部門などから必要な情報を集め、投資家が企業の状況を理解しやすい資料へ整理する役割を担います。
具体的には、決算説明資料や補足資料などの作成、数値の確認、社内各部署との調整などを行います。
正確性はもちろん、情報を簡潔に整理して伝える力も求められる業務です。
2. 決算説明会の準備・運営を行う
決算発表に合わせて、投資家やアナリスト向けの決算説明会を開催する企業もあります。
IR担当者は、説明会の企画から資料準備、登壇者との調整、当日の運営まで幅広く関わります。
説明会では、決算資料だけでは伝わりにくい業績の背景や今後の方針について、経営陣が説明するケースもあります。
そのため、IR担当者には経営陣が伝えたい内容を整理し、投資家に伝わる形へ落とし込む力が必要です。
3. 投資家・アナリストに対応する
IR担当者は、機関投資家やアナリストなどから寄せられる問い合わせや面談にも対応します。
問い合わせ内容は、業績や事業戦略、今後の成長方針など多岐にわたります。
質問に対して正確に回答するだけでなく、投資家が何を知りたいのかを理解したうえで、必要な情報をわかりやすく伝えることが重要です。
また、投資家との対話を通して得られた意見や質問を社内へ共有することも、IR担当者の重要な役割です。
4. 情報開示を行う
企業には、投資判断に影響を与える重要な情報を適切に開示することが求められます。
IR担当者は、適時開示などに関わる社内調整や、IRサイトへの情報掲載などを担当することがあります。
情報の正確性や公開タイミングが重要になるため、慎重な確認作業が欠かせません。
また、決算情報だけでなく、事業内容や成長戦略などを継続的に発信することで、投資家が企業を理解するための情報環境を整えます。
5. 株主総会に対応する
企業によっては、株主総会に関する業務もIR担当者が担当します。
株主総会に向けた資料の準備や社内調整、想定質問の整理、当日の運営サポートなど、さまざまな業務が発生します。
とくに重要なのが、株主から寄せられる質問への準備です。
過去の問い合わせや想定される質問を整理しておくことで、当日の対応をスムーズに進めやすくなります。
IR業務の年間スケジュール
IR業務は、決算発表や株主総会などの年間イベントに合わせて進行します。
| 時期 | 主な業務 |
| 決算前 | 決算資料の準備、社内情報の整理、説明会準備 |
| 決算発表時 | 決算資料の公開、説明会の運営、問い合わせ対応 |
| 決算後 | 投資家対応、問い合わせ内容の整理、社内共有 |
| 株主総会前 | 資料準備、想定質問の整理、社内調整 |
このように、IR担当者は決算期などの特定の時期に業務が集中します。
「IRは忙しい」といわれる理由のひとつは、複数の業務を同時並行で進める必要があるためです。
IR担当者が連携する主な社内部署
IR業務は、IR部門だけで完結するものではありません。さまざまな部署と連携しながら情報を整理していきます。
| 部署 | 主な連携内容 |
| 経理・財務 | 決算数値や財務情報の確認 |
| 経営企画 | 経営方針や事業戦略の確認 |
| 法務 | 情報開示内容の確認 |
| 広報 | 情報発信に関する連携 |
| 経営陣 | メッセージや方針の確認 |
このように、IR担当者には社内のさまざまな情報を集め、関係者と調整しながら発信まで進める力が求められます。
IR担当者に必要な5つのスキル
IR業務を進めるためには、専門知識だけでなく、情報を整理して伝えるための幅広いスキルが必要です。
1. 財務・会計に関する知識
決算資料を扱うIR担当者にとって、財務・会計に関する基本的な知識は欠かせません。
決算数値を理解し、業績が変化した理由を投資家にわかりやすく説明できることが重要です。
2. 情報整理・分析力
IRでは社内外から多くの情報が集まります。
そのなかから重要な情報を整理し、投資家に必要な内容を選び出す力が求められます。
「何を伝えるべきか」を判断する力は、IR業務の基本となるスキルです。
3. コミュニケーション力
IR担当者は、経営陣や各部署、投資家など、多くの関係者とやり取りします。
相手によって必要な情報や伝え方が異なるため、状況に応じたコミュニケーションが必要です。
4. 文章・プレゼンテーション力
IR資料や説明会では、複雑な情報を簡潔に伝えることが求められます。
数字や専門用語を並べるだけではなく、投資家が内容を理解しやすい構成にする力が重要です。
5. スケジュール管理能力
IR業務では、決算発表などの明確な期限に合わせて複数のタスクを進めます。
資料作成、確認、社内調整、公開準備などを並行して進める必要があるため、スケジュール管理能力も重要です。
優先順位をつけながら、期限までに正確に業務を完了させる力が求められます。
IR業務が「辛い・忙しい」といわれる理由
IR業務が辛いといわれる理由のひとつは、決算期などに業務量が増えやすいことです。
決算資料の作成と並行して、説明会の準備や投資家対応などを行う場合もあります。
また、IRで扱う情報には正確性が求められるため、細かな数字や表現まで何度も確認する必要があります。
さらに、社内の複数部署との調整も必要になるため、業務が複雑になりやすい傾向があります。
一方で、企業の経営状況や事業戦略を深く理解できることや、経営陣・投資家と直接関わる機会があることは、IR業務ならではの魅力です。
IR業務で動画を活用するメリット
IRでは、決算資料やIRサイトなどのテキスト情報だけでなく、動画を活用して情報を伝える方法もあります。
動画を使うことで、数字や文章だけでは伝わりにくい事業内容や経営者の考えを、視覚・聴覚を使って伝えられます。
たとえば、以下のような動画が考えられます。
| 動画の種類 | 主な内容 | 活用目的 |
| 決算説明動画 | 業績・決算内容・今後の方針 | 業績への理解を促す |
| 会社紹介動画 | 事業内容・サービス・強み | 企業理解を促す |
| 事業紹介動画 | 事業モデル・提供価値 | 事業への理解を深める |
| 経営者メッセージ | 経営方針・成長戦略 | 経営方針を伝える |
動画を制作する際は、まず「誰に、何を伝える動画なのか」を明確にすることが大切です。
また、企画段階で伝えたい情報を整理しておくことで、撮影や編集も進めやすくなります。
動画制作の基本的な流れについては、動画制作の基本ガイドも参考にしてください。
構成を作る際は、映像制作の構成案の作り方も役立ちます。
IR業務を効率化するためのポイント
IR業務は複数のタスクを並行して進めることが多いため、あらかじめ業務を整理しておくことが重要です。
- 年間のIRイベントを一覧化する
- 決算前後のタスクをテンプレート化する
- 社内確認のフローを決めておく
- 過去の問い合わせや質問を蓄積する
- 資料や動画の制作スケジュールを前倒しする
特に決算期は業務が集中するため、事前にできる準備を進めておくことで、直前の負担を減らしやすくなります。
また、資料や動画などの制作物についても、目的や伝えたい内容を先に整理しておくことが大切です。
IR担当者に向いている人とは?
IR担当者には、以下のような特徴を持つ人が向いています。
- 数字やデータを扱うことが得意な人
- 情報を整理してわかりやすく伝えられる人
- さまざまな部署と調整できる人
- 細かな確認作業を丁寧に行える人
- 企業や経営について学ぶことが好きな人
特にIRでは、正確性とコミュニケーション力の両方が求められます。
「数字に強い」だけでなく、「情報を相手に合わせて伝えられる」ことも重要なポイントです。
IR業務の全体像を整理すると?
ここまで紹介した内容をまとめると、IR業務は以下のように整理できます。
| 業務 | 主な仕事内容 |
| 決算対応 | 決算資料作成、説明会準備など |
| 投資家対応 | 問い合わせ、面談、情報提供など |
| 情報開示 | 開示情報の整理、社内確認、公開など |
| 株主総会対応 | 資料準備、想定質問、運営サポートなど |
| 情報発信 | IRサイトや動画などを活用した情報提供 |
このように、IR担当者は「情報を集める」「整理する」「伝える」「対話する」という複数の役割を担っています。
よくある質問(FAQ)
IR担当者の仕事内容は何ですか?
代表的な仕事内容は、決算資料の作成、決算説明会の準備・運営、投資家やアナリストへの対応、情報開示、株主総会への対応などです。
企業によって担当範囲は異なるため、IR部門の規模や組織体制によって仕事内容も変わります。
IR担当者は忙しいですか?
決算発表や株主総会などの時期は、複数の業務が重なるため忙しくなりやすい傾向があります。
一方で、年間スケジュールを把握し、早めに準備を進めることで業務を効率化しやすくなります。
IR担当者に必要なスキルは何ですか?
財務・会計の知識、情報整理・分析力、コミュニケーション力、文章・プレゼンテーション力、スケジュール管理能力などが挙げられます。
なかでも、正確な情報をわかりやすく伝える力は、さまざまなIR業務で活かせる重要なスキルです。
IR業務で動画を活用できますか?
はい。決算説明動画や会社紹介動画、事業紹介動画、経営者メッセージなど、さまざまな用途で活用できます。
動画は、テキストや数字だけでは伝わりにくい情報を視覚的・聴覚的に伝えられるため、企業や事業への理解を促す情報発信手段のひとつとして活用できます。
まとめ
IR担当者の仕事内容は、決算資料の作成や説明会の準備、投資家対応、情報開示、株主総会対応など多岐にわたります。
また、IR業務ではさまざまな部署と連携しながら、社内の情報を整理して投資家に届ける必要があります。
そのため、財務・会計の知識だけでなく、情報整理力やコミュニケーション力、スケジュール管理能力なども重要です。
決算期などは業務が集中しやすいため、年間スケジュールを把握し、早めに準備しておくこともポイントです。
さらに、決算説明動画や会社紹介動画などを活用すれば、投資家に企業や事業の情報をわかりやすく伝えるための接点を増やすこともできます。
IR業務をこれから担当する方は、まず自社の年間スケジュールと担当業務を整理し、どの業務にどのようなスキルが必要なのかを把握するところから始めてみましょう。
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