
「IR活動って言葉は聞いたことがあるけれど、実際に何をすればいいのか分からない……」「うちの会社もIRに力を入れるべきなのかな……」。そんな疑問を持つ企業担当者は少なくありません。
特に上場を意識し始めた企業や、投資家とのコミュニケーションを強化したい企業にとって、IR活動は重要なテーマです。しかし、決算説明会やIRサイト、統合報告書など取り組みの種類が多く、何から始めればよいのか分かりにくいのも事実です。
実は、IR活動の目的と基本的な進め方を理解すれば、自社に必要な施策を整理しやすくなります。
この記事では、IR活動の意味や目的、メリット・デメリット、効果を高める戦略、具体的な取り組み内容までをわかりやすく解説します。IR動画をはじめとした動画活用のポイントについても、プロの視点から紹介します。
「IR活動とは?」基本の意味と目的をわかりやすく解説
IR活動とは、投資家や株主に向けて企業の経営状況や事業内容、将来性などを発信し、企業との信頼関係を築くための活動です。
「IR」は「Investor Relations(インベスター・リレーションズ)」の略称で、日本語では「投資家向け広報」などと表現されます。
具体的には、決算情報や経営戦略の開示、決算説明会、株主総会、IRサイトの運営、投資家との個別面談など、さまざまな取り組みが含まれます。
一般的な広報活動が顧客や社会全体など幅広いステークホルダーを対象とするのに対して、IR活動では株主や機関投資家、個人投資家、アナリストなど、企業価値を評価する投資家とのコミュニケーションが中心となります。
IR活動の目的は、単に情報を公開することではありません。企業の現在の状況だけでなく、経営方針や事業戦略、将来の成長性まで分かりやすく伝え、投資家から適切に評価してもらうことが重要です。
継続的に情報を発信することで、企業への理解を深めてもらい、長期的な信頼関係の構築につなげていきます。
IR活動の「目的」とは?企業が取り組む3つの理由
企業がIR活動に取り組む目的は、主に次の3つに整理できます。
- 企業や事業への理解を深めてもらう
- 投資家との信頼関係を構築する
- 企業価値を適切に評価してもらう
まず重要なのが、企業の事業内容や経営戦略を正しく理解してもらうことです。
企業側から十分な情報が提供されなければ、投資家は限られた情報だけで企業を判断することになります。事業の強みや成長戦略を継続的に発信することで、企業に対する理解を深めてもらいやすくなります。
次に、投資家との信頼関係の構築です。
決算情報などの財務情報だけでなく、経営方針や事業上の課題、今後の戦略などについて継続的に情報を発信することが、長期的なコミュニケーションにつながります。
そして、企業価値を適切に評価してもらうことも重要です。
自社の強みや将来性が十分に伝わっていなければ、企業が考える価値と市場からの評価にギャップが生じる可能性があります。
IR活動では、こうした情報のギャップを小さくし、投資家が適切な判断をできる環境を整えることが求められます。
IR活動の「メリット」と「デメリット」を徹底比較
IR活動にはさまざまなメリットがある一方で、継続的な情報発信には人的・時間的な負担も発生します。
まずは、IR活動によって期待できる主なメリットを見ていきましょう。
- 投資家や株主からの企業理解を深められる
- 企業価値や事業の将来性を伝えられる
- 投資家との長期的な信頼関係を構築できる
特に重要なのが、企業側が伝えたい情報と投資家が知りたい情報のギャップを埋められる点です。
決算数値だけでは伝わりにくい事業戦略や経営方針などを分かりやすく発信することで、企業に対する理解を深めてもらいやすくなります。
一方で、IR活動には次のようなデメリットもあります。
- 情報収集や資料作成などの人的コストが発生する
- 継続的な情報更新や社内調整が必要になる
- 情報開示の内容やタイミングを慎重に検討する必要がある
IR活動は一度取り組めば終わりというものではありません。決算発表や事業環境の変化などに合わせて、継続的に情報を更新する必要があります。
そのため、IR担当者だけでなく、経営企画や広報、財務、法務など社内の複数部門が連携できる体制を整えることが重要です。
IR活動の効果を高める「戦略」とフレームワーク
IR活動を効果的に進めるためには、単発で情報を発信するのではなく、「誰に・何を・どのように伝えるのか」を整理して継続的に改善することが重要です。
基本的な流れとしては、次の4ステップで考えると整理しやすくなります。
- 現状分析:現在の株主構成や投資家からの評価、既存のIR施策を整理する
- 目標設定:どの投資家に何を理解してもらいたいのかを明確にする
- 施策実行:決算説明会やIRサイト、IR動画など目的に合った手法で発信する
- 効果検証:投資家の反応やアクセス状況などを確認し、次の施策へ反映する
現状分析
まずは、自社が投資家からどのように見られているのかを整理します。
株主構成や投資家層、現在のIRサイトへのアクセス状況、決算説明会への参加状況などを確認し、現状の課題を把握します。
投資家から寄せられる質問や面談時の反応を分析することも有効です。
目標設定
現状分析をもとに、IR活動で達成したい目標を設定します。
例えば、「個人投資家への認知を高めたい」「中長期的な成長戦略を理解してもらいたい」など、具体的な目的を設定すると施策を選びやすくなります。
誰に何を伝えるのかを明確にすることが、IR戦略を考えるうえで重要なポイントです。
施策実行
目標に合わせて、決算説明会やIRサイト、統合報告書、IR動画、投資家向け説明会などの施策を組み合わせます。
すべての施策を一度に実施する必要はありません。自社のリソースや投資家層に合わせて、優先順位をつけながら取り組むことが大切です。
効果検証
施策を実施した後は、その効果を確認します。
IRサイトのアクセス状況や動画の視聴状況、説明会への参加者数、投資家から寄せられた質問などを確認し、次の施策に活用します。
このサイクルを継続することで、IR活動をより効果的なものへと改善していけます。
IR活動における具体的な「取り組み」内容とは
IR活動にはさまざまな手法があります。代表的なものとして、決算説明会、統合報告書、IRサイト、IR動画、個人投資家向け説明会などが挙げられます。
それぞれの特徴を以下の表にまとめました。
| 手法 | 情報伝達力 | 準備期間の目安 | 費用相場(目安) | 拡散力 | 継続のしやすさ |
| 決算説明会 | ◎ | 1ヶ月程度 | 数十万円〜百万円程度 | △ | ◯ |
| 統合報告書(アニュアルレポート) | ◎ | 2〜3ヶ月程度 | 百万円〜数百万円程度 | △ | ◯ |
| IRサイト | ◯ | 1〜2ヶ月程度 | 数十万円〜百万円程度 | ◯ | ◎ |
| IR動画 | ◎ | 1〜2ヶ月程度 | 数十万円〜数百万円程度 | ◎ | ◯ |
| 個人投資家向け説明会 | ◯ | 1ヶ月程度 | 数十万円〜百万円程度 | ◯ | △ |
※費用や準備期間は施策の規模や内容によって変動します。あくまで目安としてご覧ください。
決算説明会
決算説明会は、決算内容や今後の経営方針について、投資家やアナリストに説明する代表的なIR活動です。
経営陣が直接説明することで、決算資料だけでは伝わりにくい背景や考え方を補足できます。オンラインで開催したり、説明会の内容を動画として公開したりする方法もあります。
統合報告書(アニュアルレポート)
統合報告書は、財務情報だけでなく、経営戦略や人的資本、ガバナンスなどの非財務情報も含めて企業価値を伝えるための媒体です。
企業の現在の業績だけでなく、中長期的な成長ストーリーを伝えたい場合に活用されています。
IRサイト
IRサイトは、決算情報やIR資料、経営方針、株式情報などを継続的に発信するためのオンライン上の窓口です。
投資家が必要な情報へいつでもアクセスできる環境を整えることが重要になります。
IRサイトそのものの目的や構成について詳しく知りたい方は、別記事「IRサイトとは?」も参考にしてください。
IR動画
IR動画では、経営者メッセージや決算説明、事業紹介などを映像で伝えられます。
文章や数値だけでは理解しにくい内容も、映像や音声を組み合わせることで短時間で伝えやすくなります。
個人投資家向け説明会
個人投資家向け説明会は、個人投資家に向けて企業の事業内容や成長戦略などを説明する機会です。
機関投資家とは異なる視点から質問を受けることもあるため、企業側にとって投資家のニーズを知る機会にもなります。
IR活動に「動画」を活用するメリット
IR活動において、動画を活用する企業も増えています。
動画の大きな特徴は、文字や数字だけでは伝わりにくい情報を、映像と音声を組み合わせて伝えられることです。
例えば、次のようなコンテンツが考えられます。
- 経営者によるメッセージ動画
- 決算説明会のダイジェスト動画
- 事業内容・サービス紹介動画
- 中期経営計画の解説動画
- 株主総会や説明会のアーカイブ動画
特に経営者が直接語る形式では、文章だけでは伝わりにくい経営に対する考え方や企業としての姿勢を伝えやすくなります。
また、動画をIRサイトや企業サイト、動画配信プラットフォームなど複数のチャネルで活用できる点もメリットです。
動画制作の全体像を把握したい場合は、動画制作の基本ガイドも参考にしてください。
IR動画を制作するときのポイント
IR動画を制作する際には、最初に「誰に何を伝える動画なのか」を明確にすることが重要です。
投資家向けの動画だからといって、決算数値を並べるだけでは十分に伝わりません。
「なぜこの事業に取り組むのか」「今後どのような成長を目指しているのか」など、投資家が知りたい情報を整理して構成することが大切です。
動画の構成を考える際は、伝えたいメッセージを整理したうえで、どの順番で情報を見せるかを決めていきます。
具体的な構成案の作り方については、映像制作の構成案の作り方で詳しく解説しています。
また、撮影を伴う動画では、出演者や撮影場所、スタッフ、機材などによって費用が変わります。詳しい費用感については、動画撮影の料金相場も参考にしてください。
IR活動の「費用相場」はどのくらい?
IR活動にかかる費用は、実施する施策によって大きく異なります。
決算説明会や投資家向けイベントの開催費用だけでなく、IRサイトの制作・運用費、統合報告書の制作費、動画制作費など、複数の費用が発生する可能性があります。
特に動画制作では、企画内容や撮影規模、出演者、編集内容などによって費用が大きく変わります。
実写動画だけでなく、イラストや図形を使ったアニメーション動画を活用する方法もあります。アニメーション動画の費用については、アニメーション動画の費用相場もご覧ください。
また、決算発表など特定のタイミングに合わせて動画を公開する場合は、制作スケジュールにも注意が必要です。企画・撮影・編集・確認など複数の工程があるため、余裕を持って準備しましょう。
動画制作の期間については、動画制作の納期の目安で詳しく解説しています。
IR活動を進める際の「注意点」
IR活動では、情報を発信することだけでなく、情報の正確性や継続性も重要です。
特に意識したいポイントは次の3つです。
- 情報の正確性:決算数値や経営情報などに誤りがないよう、公開前に複数人で確認する
- 情報の一貫性:IRサイトや決算資料、動画など、媒体によって内容に食い違いが生じないようにする
- 継続的な発信:一度だけ発信するのではなく、決算や事業の進捗に合わせて情報を更新する
IR活動では、企業側が伝えたい内容だけでなく、投資家がどのような情報を必要としているのかを意識することも大切です。
投資家から寄せられた質問や反応を次の情報発信に活かすことで、より分かりやすいIR活動につなげられます。
【あわせて知りたい】IR活動の今後の動向
IR活動を取り巻く環境は、デジタル化によって変化しています。
これまでの対面での説明会や紙媒体だけでなく、オンライン説明会や動画、Webサイトなどを活用して情報を発信する企業も増えています。
特に動画は、時間や場所の制約を受けにくく、経営者のメッセージや事業内容を視覚的に伝えられる点が特徴です。
今後も、投資家が必要な情報へアクセスしやすく、企業の考え方や事業内容を理解しやすい情報発信の方法が重要になっていくと考えられます。
ただし、すべての企業が同じ施策を導入する必要はありません。
自社の投資家層やIR活動の目的、社内リソースを踏まえて、適切な情報発信手段を選ぶことが重要です。
よくある質問(FAQ)
IR活動とは簡単に言うと何ですか?
IR活動とは、投資家や株主に向けて企業の経営状況や事業内容、将来性などを伝え、信頼関係を構築するための活動です。
決算情報の開示だけでなく、決算説明会やIRサイト、IR動画、投資家との個別面談などもIR活動に含まれます。
IR活動にはどのような取り組みがありますか?
代表的な取り組みとして、決算説明会、統合報告書、IRサイト、IR動画、個人投資家向け説明会などがあります。
目的によって適した手法は異なるため、「誰に何を伝えたいのか」を明確にしたうえで施策を選ぶことが重要です。
IR活動に動画を使うメリットは何ですか?
動画を使うことで、文章や数値だけでは伝わりにくい経営者の考え方や事業内容を、映像と音声で分かりやすく伝えられます。
経営者メッセージや事業紹介、決算説明会のダイジェストなど、さまざまな用途で活用できます。
IR活動にはどのくらいの費用がかかりますか?
IR活動の費用は、実施する施策によって異なります。
決算説明会や統合報告書、IRサイト、IR動画など、それぞれに必要な費用が異なるため、一律の金額を示すことはできません。
動画の場合は、企画内容や撮影規模、編集内容によって費用が変わります。詳しくは動画撮影の料金相場をご確認ください。
中小企業でもIR活動は必要ですか?
上場企業だけでなく、上場準備中の企業や投資家からの資金調達を検討している企業にとっても、IR活動は重要な取り組みです。
早い段階から投資家に向けた情報発信の体制を整えておくことで、企業の事業内容や成長戦略を伝える準備がしやすくなります。
まとめ
IR活動とは、投資家や株主に向けて企業の経営状況や事業内容、将来性などを発信し、企業との信頼関係を築いていくための継続的な活動です。
決算説明会や統合報告書、IRサイト、IR動画、個人投資家向け説明会など、さまざまな手法がありますが、重要なのは「誰に何を伝えるのか」を明確にして、自社に合った施策を継続することです。
現状分析、目標設定、施策実行、効果検証というサイクルを回しながら改善していくことで、より効果的なIR活動につなげられます。
特に動画は、経営者の想いや事業の将来性など、文章や数値だけでは伝わりにくい情報を分かりやすく届けられる手段です。
Crevoは2,000社・10,000件以上の制作実績を持ち、IR動画をはじめとしたさまざまな動画コンテンツの企画・制作を支援しています。
IR活動で動画を活用したい方や、どのような動画を制作すればよいかお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
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