制作事例から、ひとつひとつの作品の世界観をとても大事にしていることがわかった
―まずは、販促のために動画を活用しようと考えたきっかけを教えてください。
山下様:2010年に発売された、安宅和人さん著『イシューからはじめよ』の販促施策に動画を活用したいと考えていました。というのも、2020年2月に安宅さんの新刊『シン・ニホン』(NewsPicksパブリッシング)発売以降、急激に売り上げが伸びていたんです。そこで、本の注目度が上がっているタイミングに、オンラインでも書店でも販促を強化していきたいということで20年春頃から制作に向けて動き出しました。
―ではそのタイミングですぐにCrevoにご依頼を?
山下様:いえ、はじめは自分たちで制作しようと思いました。2013年に一度、『イシューからはじめよ』の動画を作ったことがあっ
たんです。しかし動画制作は専門外なので、時間は膨大にかかってしまうし、苦労して作ったものが本当に効果的なのかどうかもよくわからない。いい動画を作ることに加えて、自分たちの学習という意味でも、今回はプロの制作会社と協業しようと思い探し始めました。
比較検討の段階で4社ほどに絞った後、具体的に話をさせていただいたのはCrevoさんを含めて2社。まずはこちらの要望を伝えて、その実現のためにどんなことができるかを伺いました。すると、Crevoさんは書籍の販促動画の実績はないものの、過去の事例を拝見したところ、ひとつひとつの作品の世界観をとても大切にされていると感じました。それが、Crevoさんとご一緒したいと思う決め手になりました。
―実績以上に魅力を感じていただける部分があったのですね。
田中様:出版社の動画制作の実績がなくても、他業種での制作事例が豊富だった点は魅力的でした。きっと、そこで培ったノウハウを活かしていただけるだろうと。そもそも出版業界では、今回のようなSNS&書店向けの動画を制作している前例が多くないので、Crevoさんと二人三脚で新しいものを作っていきたいと考えました。
自社で用意した絵コンテをどんどんブラッシュアップしていってくれた
―動画を通してどんなことを実現したいと考えていらっしゃいましたか?
山下様:『イシューからはじめよ』は読者レビューを見ると、「学生のときに読みたかった」「社会人一年目に読みたかった」「卒論制作に使える」というコメントが意外と多いんです。15秒や30秒という短いSNS動画で、大学生の方々に『イシューからはじめよ』の魅力を訴求する。これが今回の動画制作の一番の目的でした。まずは自分たちで絵コンテを作成したのですが、完成した動画と見比べると、当初の絵コンテと全然違う(笑)! Crevoさんが「これだと長すぎるからメッセージを絞ったほうがいい」とか、「ここは文章ではなくビジュアルにしてみませんか?」とか、具体的にどうすべきかを一緒に考えてくれたので、どんどんいいものに昇華されていったんです。
―制作中に不安なことはなかったですか?
山下様:自分たちが不安に感じることはありませんでした。むしろ、こちらが何度も何度も修正をお願いしたので、Crevoさんが大変じゃないか・・・と気になっていました(笑)。でも、担当ディレクターさんが一緒に楽しんで作業してくださっていることが伝わってきたので、 “いいものを作るために一丸となっている”という実感がありました。
書籍の注目度が高まったことを機に、書店が自社の他の本も扱ってくれるようになった
―動画完成後、反響はどうですか?
山下様:“学生時代に読んでおきたい”“入社一年目に読んでよかった本”といった文脈でメディアで取り上げていただく機会は増えましたね。また、書店さんからの反響も大きかったですよ。特に著者の安宅さんの故郷・富山のある書店さんでは、この動画をきっかけに『イシューからはじめよ』だけでなく、英治出版の他の本も広く取り扱っていただけるようになったんです。動画を作成して本当によかったなと思います。
田中様:私は英治出版のTwitterアカウントを管理しているんですが、『イシューからはじめよ』の広告配信中はフォロワーがかなり増えました。書籍の広告をきっかけに、出版社のことも知ってもらえたのがうれしかったです。
―『イシューからはじめよ』以外にも書籍の動画を作成されていますが、その他の本に関しては、反響はいかがでしたか?
田中様:『未来を実装する』の動画広告配信が始まったときは、著者の馬田隆明さんがTwitterで「かっこいいね!」とつぶやいてくださいました。著者に喜んでもらえたのはうれしかったですね。
『ティール組織』の動画は、発売から年月を経て売り上げが落ち着いてきたタイミングだったのですが、動画をきっかけに多くの書店さんに再展開していただきました。
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BGMの選曲からも、世界観をよく理解してくれていることが伝わってきた
―全体としてかなり満足度が高かったのでしょうか?
山下様:満足度はとても高いです。それぞれの本の世界観を理解すること自体とても大変だと思うのですが、Crevoさんは初稿の段階から、「ああ、わかってくれてる。本を読んでくれてるなあ」と伝わってきたので、安心して一緒に仕事ができました。
田中様:BGMの選曲もよかったです! いつも本の世界観に近い曲をピックアップしてくださるので、すごくやりやすかったです。『My Child』という絵本の動画制作をお願いした際も“これまでとテイストが違うからどうなるかな?”と思いましたが、動画も音楽もイメージにぴったりでした。
また、方向転換がスピーディなところにも好感が持てました。『ステレオタイプの科学』の動画は、途中で動画の方向性を変えることになったのですが、スムーズにこちらの意図をくみ取っていただけたので安心でした。
―今後も動画を制作することがあればCrevoを利用したいですか?
山下様:大人向けの絵本からビジネス書にいたるまで、Crevoさんとは1年間で6冊の本の動画を作りました。その間で“なんか違うな”と感じたら途中で他の制作会社を探していたと思います。でもそうしなかったのは、Crevoさんが英治出版の想いを具現化するためにしっかり寄り添って一緒に歩んでくれたからです。