ナイキから見る動画を活用したブランド戦略
更新日2024年06月14日
公開日2019年09月27日
こんにちは!VIDEO SQUARE編集長です。
「Just do it.」というスローガンを一度は目にしたことがある方は多いのではないでしょうか?スポーツブランド「NIKE(※以降、ナイキ)」の企業スローガンとなっており、「行動あるのみ」を意味するシンプルな一文の中に企業の想いがこめられています。
今回の記事では、そんなナイキの動画に焦点をあて、メッセージを軸としたブランド戦略について見ていきます。
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ナイキ初の「Just do it.」CM
ナイキが初めて「Just do it.」をCMで取り入れたといわれているのが、1988年に制作されたこちらの動画になります。
本動画では、当時80歳のウォルト・スタックさんがサンフランシスコの有名な橋、ゴールデンゲイトブリッジを走っている様子が描かれています。年齢差別に対して、「Just do it.」というメッセージを体現したCMとなっています。30年前のCMにも関わらず、今日も通じるメッセージであることがナイキの本CMの魅力といえるのではないでしょうか。
2019年は女性平等がテーマ
世界が置かれている状況によって、ナイキはCMのメッセージを変えてきています。2019年の6月末までに、ナイキが公開した動画の中で最も視聴された動画トップ10の中で、8本は「女性」をテーマにしたものでした(※Tubular調べ)。ここでは、特に再生回数の多かった「女性」を主人公にした3本を再生数順にてご紹介します。
「Dream Crazier」
出典:Nike
「Dream Crazier」がタイトルの動画は、2019年上半期で最も再生されたナイキの動画です。「もっとクレイジーな夢を見よう」という意味で、女性の強さが象徴的な1本になっています。「感情を見せれば、感情的だといわれる。男性と対戦したいと思えば、頭がおかしいと思われる。」と冒頭では女性が世間にもたれているイメージについての淡々としたナレーションが続きます。
しかし、後半では女性のマラソン選手、ボクシング選手、バスケットボール選手、バスケットボールのコーチ、フェンシング選手、水泳選手がスポーツを通して輝く様子が描かれています。その中には23度のグランドスラムを達成し、子育てから復帰してプレイを続けるテニス界のレジェンドといえるセリーナ・ウィリアムズ選手の姿も盛り込まれています。
女性であっても、力強いプレイを通して、無謀だといわれる夢を叶えるからこそ見せられるものがあることがCMからひしひしと伝わってきます。
「Never Stop Winning」
出典:Nike
「Never Stop Winning」がタイトルの動画では、「勝ち続けることを止めないで」というメッセージが込められています。本動画では、サッカーアメリカ合衆国女子代表が取り上げられており、「私は信じている」というキャプテンのミーガン・ラピーノー選手の力強い言葉から始まります。「いつの日か、私たちが女性サッカーチームで一番ではなく、世界で一番のサッカーチームになり、世界中の男の子や女の子が大人になったらミーガン・ラピーノーみたいなりたいという世界が来ることを信じている。そして、私たちの声がメディアで取り上げられ、女性がサッカーフィールドにいることが当たり前で、ガラスの天井がなくなり、ラッシュモア山に顔が刻まれる日が来ることを信じている。それまで、私たちは戦い続けます。歴史を作るためではなく、現状を永遠に変えるために戦います。」と続きます。
白黒テイストの映像で、ミーガン・ラピーノー選手のナレーションがより視聴者に響く見せ方になっています。彼女だからこそ、届くメッセージではないでしょうか。
「Dream Further」
出典:NIKE JAPAN
「Dream Further」がタイトルの動画では、「もっと大きな夢を見よう」という意味で世界のトップ女子サッカー選手が出演している見ごたえのある1本になっています。サッカー選手を夢見るエスコートキッズの女の子が主人公です。女の子は、手を引かれ、実際に選手たちとサッカーをプレイし、最後には大きなチャンスに恵まれます。
女の子だからという理由でサッカー選手になることを諦めないで欲しいという想いが垣間見られます。試合シーンは、迫力満点です!
ナイキの動画の特徴
ここでは、他のスポーツブランドではあまり見られないナイキの動画の特徴について見ていきたいと思います。
政治的なテーマを扱う
政治的なテーマを扱うことで、視聴者にインパクトの残る動画にする傾向があります。たとえば、2019年の場合は、女性をテーマにすることで、女性の力強さを訴求し、女性の社会進出や女性の平等の権利などに結びつけて考えることができます。このテーマ設定は、男女それぞれ独自の魅力があるスポーツ だからこそ、視聴者にはメッセージの説得力が増しており、スポーツウェアブランドであるナイキだからこそできるブランド戦略だといえます。
視聴者を勇気づけるストーリー
視聴者を動画で印象づけるうえで、見た人を勇気づけるストーリーを軸としている共通点があります。さきほど紹介した女性をテーマにした3本の動画も、冒頭で紹介した80歳のウォルト・スタックさんを主人公にした動画でも、現状や固定概念に負けず、生き生きとした姿が最後には描かれています。強いメッセージを打ち出しているCMですが、そのメッセージに負けないアスリートたちの姿を見せることで、より印象に残る動画になっています。
トップアスリートをキャスティング
ナイキのCMの特徴として、 していることが特徴的です。そして、人間的な弱さも強さももち合わせた、完璧ではない人間らしさも感じられるスポーツ選手を採用しています。たとえば、「Never Stop Winning」の動画は、取り上げられたサッカーアメリカ合衆国女子代表が優勝したまさにその日に公開されました。そして、そんな脚光を浴びている彼女たちだからこそ動画のメッセージが視聴者の心により響くのではないでしょうか。
Twitterの拡散性を活用
Twitterのスポーツブランド部門において、2019年上半期の動画再生数トップ10の中の7本はナイキの動画でした。ナイキでは、Twitterを積極的に活用し、メッセージ性の高い動画を投稿することで「バズる」好循環を作り、より多くの方に届ける独自のブランド戦略を構築しています。アメリカのSNSマーケティング企業「Tubular」の調べによると、2018年にNIKEの動画の視聴回数は4.6億回を記録し、2019年の上半期時点で既に去年の全再生回数の8割まで動画の再生回数は伸びています。
メッセージを軸にしたブランド戦略
「Just do it.」の企業スローガンを軸としながら、その時の時代背景に合わせたメッセージをナイキでは発信し続けています。トレンドや流行に左右されやすいスポーツウェアだからこそ、メッセージを軸とすることでトレンドに左右されずに、ブランドに共感をもった根強いファンを取り込むことができます。そして、動画を通してナイキ独自の世界観を描くことで、より視聴者の心に残すことができるでしょう。
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参考サイト
・Nike Ads Slay Social Video Every Time! Here’s How.|tubular insights
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