購入潜在層にも目を向けた動画プロモーションを検討
– 当時の吉川様の業務内容を教えてください。
弊社が提供する定期宅配サービス「Oisix」をご利用いただく定期会員数を増やすことをミッションとしており、その中でも、私は広告を通した会員数の獲得がメイン業務でした。Oisixの「おためしセット」の購入を通して、一度商品の良さを体験していただいてから実際に定期会員としてご入会いただくという2ステップを踏むプロモーションを行っていました。
– プロモーション施策を行う中で、「動画」を活用しようと思ったきっかけは何でしたか?
それまではバナー中心の静止画でのプロモーション施策が中心でした。施策を行う中で、すでにOisixに興味を持っていただいている購入検討層のお客様が反応している感覚があり、このまま同じ施策を続けていけば、ターゲットにあたりきってしまうのではという懸念がありました。
そこで、お客様の購入検討より前のジャーニーに目を向けました。Oisixを知らないけど興味を持っていただける可能性のある、購入潜在層の方に向けた興味喚起ができればもっと多くの方にOisixを知ってもらえるのではと思うようになり、「動画」の活用を検討するようになりました。そのフェーズのお客様に興味喚起をしようと思った時、従来行っていたバナーだと目にした方に届けられる情報量が動画と比べて少なかったり、自分事化がしづらかったりするのではというイメージがありました。他の手法として、記事コンテンツの制作も検討しましたが、コンテンツを見ることで興味をもってもらえるような状態を作るなら動画だという結論に至りました。
– Crevoでの動画制作を決めた理由を教えてください。
当時は、eコマースのダイレクトマーケティングでは動画を活用した成功事例があまりなく、動画の効果が疑問視される風潮がありました。そんな中でも、Crevoさんはどうやれば動画をうまく生かせるかとこちらの要望に真摯に向き合ってくれる姿勢に可能性を感じました。 また、弊社側で立てた目的・目標に対して色々な仮説をお互いに出し合えるチーム作りがCrevoさんならできそうだと感じました。
目的・目標の共通認識を持った上で、費用対効果にしっかりコミットいただけるパートナーという観点で選ばせていただきました。
見た方が疑似体験できる見せ方を追求
– 今回の動画ではOisixのおためしセットに含まれるレシピ付き献立ミールキット「Kit Oisix(キットオイシックス)」にスポットを当て、企画・制作をしました。Kit Oisixは、忙しい女性や料理が苦手な方をターゲットにした商品とうかがったのですが、今回「夫婦」と「親子」をキャストとして採用した背景を教えてください。
キャスティングでは、実際のお客様像をベースに考えていきました。忙しい女性をターゲットとする中で、「忙しさ」ということばだけではわかりづらいポイントを表現する上で、具体的に「共働きの夫婦」と「3歳ぐらいまでの小さなお子様がいる家庭」という2つのタイプのお客様像をキャスティングに採用し、2つのパターンでの動画を制作しました。その際も、実際のお客様の声をCrevoさんと共有し、認識を合わせた上でキャスティングを行いました。
-「夫婦編」ではどんなメッセージを伝えたかったですか?
【夫婦編】動画詳細ページはこちら
伝えたいメッセージではなく、動画を見た後にお客様になってもらいたい状態を定義した上で制作をスタートしました。Kit OisixというOisixのミールキットを今回取り扱ったのですが、動画を見るまでは詳しい商品イメージを持っていない状態の方が、動画を見た後に「自分もKit Oisixを使ったら何か良いことが起こりそうだな」と、自分事化でき、ポジティブに態度変容する様子を実現したいと思いました。
特にKit Oisixの場合は、実際に使ってみることで商品の良さが実感しやすいという特徴があります。使ってみると「これを使うと自分の生活が楽になるな」と実感しやすいのですが、全ての方に使っていただくことは難しいので、動画を通して見た方が疑似体験できるようなコンテンツが必要だと感じました。動画をインタビュー形式にしたのはその理由です。
ポジティブな体験を想起させる「親子編」
-「親子編」では1本目のインタビュー風の「夫婦編」とは異なり、文字訴求でメッセージを大きく打ち出すという見せ方にガラッと変えましたね。1本目を制作してから1年ほど時間が空いてからの制作でしたが、2本目の制作にふみきった背景や制作時のポイントを教えてください。
1本目の「夫婦編」の制作から1年ほどたってから、再度購入潜在層に向けたアプローチができないかという話が出て、新たに動画を制作し、広告配信に活用をしました。
2本目の制作時には、1本目を作っていた時期と比較すると「ミールキット」というキーワードの認知度が高くなっていると感じました。そのため、しっかり情報を伝える1本目のコンテンツから、もっとミールキットで得られるポジティブな体験を想起させる、情緒に訴えかけるような動画を活用したほうがよいのではと考えました。
1本目のラーニングとして、SNS媒体での広告掲載を前提とした時には、もっと動画の長さ短くしないと見ていただけないのではという点がありました。また、最初の3秒間でいかに興味を持ってもらえるか、ということも以前より意識して制作に取り組みました。
-「親子編」では、「ママは君の笑顔で頑張れる」や「ママだって手を抜きたい時もある」など大きなメッセージを打ち出した見せ方が印象的だったのですが、コピーの部分はどのように決めていきましたか?
Kit Oisixに寄せられた実際のお客様の声をベースにCrevoさんと一緒に考えていきました。お客様の声の他にもKit Oisixの担当からも意見をもらいながら、最終的にコピーを決定しました。
点を線につなげたコミュニケーション設計の必要性
– 実際に広告配信をしてみて、結果はどうでしたか?
「夫婦編」よりも「親子編」の方が課題が残ったという印象があります。また、SNS媒体によっても相性の良し悪しが明確になり、そこも新たな発見でした。今回の場合は、InstagramとTwitterの相性が良く、今後も配信媒体として強化したいと思いました。
– 逆に今回の動画制作を通して、新しく見るようになった指標やポイントはありましたか?
これまでは点でおためしセットを買っていただく購入意欲があるお客様の動きを見ていることが多かったのですが、その前の段階からコミュニケーションをしっかり設計し、点を線につなげた上でコミュニケーションをとらなければ、興味を持っていただけるお客様を広げることはできないと改めて考えました。
– 動画に対して、社内の反響はいかがでしたか?
反響は良かったです!特に「夫婦編」は当初の狙いにはなかったのですが、商品特徴をとらえていて、広告配信以外にもイベントの出展時に放映する機会が多く、他の部署からも「ちょっと使わせて欲しい」という依頼をもらうこともあります。
– 最後にCrevoに対しての印象を教えてください。
まず、弊社側の目的をしっかり理解していただきその目的に対して一緒に取り組んでいただけたこと、さらには、お客様の声というリアルな情報をベースに一緒に企画を考えていただけたことが良かったと思いました。Crevoさんでは共有した情報をそのまま受け取るのではなく、その要素をどのような表現に落とし込めば目的が達成できるかを一緒に考えてくれる姿勢が印象的でした。