実写映像制作初級者が制作会社よりもクラウドソーシングを利用することのメリットは?

2019年に世界中のインターネット・トラフィックの80%が動画になると予測されているように、多くの企業にとって動画制作に取り組むことは必須のこととなりつつあります。しかし、これまで自社で実写映像制作を経験してきた企業の方は少ないのではないでしょうか。

今回は、実際に映像を制作する時に気になる制作費に注目し、映像制作会社とクラウドソーシングを使った場合でのコスト面の違いやメリットを解説します。

実写映像制作にかかる費用にはどのようなものがあるのか?

映像制作費は、企画内容による変動が大きく、また企画関連費などの形のないものに対しての費用が分かりづらいところがあります。

はじめに、実写映像制作にかかる費用の内訳を紹介しますので、どのようなものに対して費用がかかるかイメージして頂ければと思います。

企画関連費

CMの企画といったクリエイティブフィーに対する費用のことです。

内訳は、企画構成費、脚色費、調査・資料費、プレゼン用の画コンテや、ビデオコンテといったものの作成費、コピー費など企画作業に関わる諸経費全般を含み、人件費と経費が同時に発生します。また、企画費の基準は、映像の長さや著名な人が関わることで金額も変わってきます。

制作準備費

制作準備費とは、企画内容に応じた準備にかかる費用のことです。

内訳は、打合せ会議室費用、スタッフの交通費(深夜作業を含む)、通信費用、タレントオーディション費用、キャスティング費用、企画のイメージに合う場所を探すロケハン(ロケーションハンティングの略)費用、テスト撮影費用などが制作準備費に含まれます。費用は、企画の内容や規模次第で変動します。

制作人件費

プロデューサー、プロダクションマネージャー、ディレクター(演出家)、カメラマン、ライトマン、美術デザイナー、スタイリストなどの制作に関わる人達の人件費です。また、HDカメラなどのカメラ機材で撮影する場合には、機材のセッティングや収録状態をコントロールするための専門のビデオエンジニアが必要になったりします。

人件費の算出方法は、プロデューサーやディレクター(演出家)などの場合、クリエイティブ性(創造的付加価値)による評価額を加算しますが、アシスタントの場合は日当計算が多いようです。

出演費

タレントやスポーツ選手といった出演者、ナレーターなどの出演費です。

「嵐」や「イチロー」などの著名人や人気タレントを起用する場合は、高額な出演料がかかります。

撮影機材費

CM撮影の場合は、ビデオカメラと35ミリや16ミリのフィルムカメラの2つが撮影の主体となっています。カメラ以外にも、レンズの選択肢として、10倍ズームや25倍ズーム、単焦点レンズなどがあり、それぞれ料金が異なります。

照明機材費

タングステンライトやストロボライトなどの発光ライトの他に、レフ板やミラーなどといった反射光の照明機材など、必要な機材を撮影のたびにレンタルして使用します。大きいものだと一台15万円くらいのものもあります。

美術費

CMやテレビなどの映像制作の中で大きなウェイトを占め、企画によって必要なものが変わり、かなりの変動があるのが美術費です。

内訳としては、美術セット制作の材料費、制作人件費、撮影立会いスタッフ費、背景、電飾、小道具、装飾品、装飾スタッフ、クッキング材料費、特撮用の造形物を制作する特殊造形、雨や雪を降らせる特殊効果、衣装などの他に、美術制作会社の諸経費などです。

スタジオ撮影費

スタジオで撮影する費用は、準備、撮影、セットの解体、撤去、保存などの後処理の三段階に分かれています。スタジオのレンタル費、空調、スタジオ要員、交通、車両、運搬などが費用としてかかります。

ロケーション撮影費

主なものとして、ロケ地の使用料、レンタル料、ロケのコーディネート料、航空運賃、交通費、車両費、機材運搬費、宿泊費、食事などの諸経費です。

また、ロケの場合は、近場なのか、それとも飛行機などでの移動が必要な遠い場所なのかであったり、ロケの日数や規模、内容によっても金額が大きく変動します。

記録メディア費

映像を収録し保存するためのデジタルメディア、テープ、フィルムなどのメディア関連費のことです。

アニメーション・タイトル制作費

平面アニメ、立体アニメ、タイトルなどの制作費のことです。

アニメ制作のプロデューサー、プロダクションマネージャー、ディレクター、デザイナー、プロダクションアシスタントなどのスタッフの人件費と、作画費、撮影費、特殊効果費、テロップやフリップガードなどの制作費の他に、キャラクターデザイン、色彩設計、VFX関係などがあります。

CG制作費

実写では表現できないものをCGで表現する場合にかかる制作費のことです。

CG制作には、ワークステーションと呼ばれるCG制作の用途に特化したパソコンが必要で、それを操作する人や、ソフト開発に携わる人、CGディレクターなどが制作に関わります。また、これらに加えて、アシスタントが加わる場合もあります。

CG制作費は、作品の質や難易度によって金額が大きく変わります。ある作品をCGだけで表現するより、実写と合成し複雑に絡み合うような形に仕上げようとしたり、シンプルな質感よりも、3DCGのようなリアルな質感を出す方が制作期間が長くなるからです。また、当然ロゴのような単純なものより、複雑なものになるとデータの作成量が大きくなります。

この作成の過程で、ワークステーションを拘束することになり、機材の使用料がコストを大きく左右します。

作品のレベルによって制作期間が異なり、その間の機材使用料(リース料/保守料)、人件費、その他の経費から算出した金額となります。

編集費

素材データを圧縮しPCで仮編集するオフライン編集と、仮編集したものにエフェクトなどの効果やスーパーを入れていくオンライン編集があります。これらの編集作業にかかる費用のことです。

音楽・効果費

映像の迫力や印象を左右する上で大きな役割を果たすのが音楽や効果音であり、それらの費用のことです。

内訳は、音楽制作費、選曲費、著作権使用料、および、著作権許諾料などの音楽費と、サウンドエフェクト(効果音)の制作費および、使用料です。

録音費

音楽や効果音などの音づけ、ナレーションなどのセリフをミキシングして最終的に仕上げる作業のことで、一般的に「MAMulti Audio VTR)」と呼ばれる費用です。

スタジオ費とエディターやミキサーといった人件費で決まります。

プリント料

テレビCM映像やテレビ番組などの放送用素材の納品には、HD-CAMSRHD-CAMなどのテープでの納品が必要であり、このテープへのプリント料のことです。

CM制作会社や広告会社は、プリントの仕入れ原価に受注・発注の事務的取扱手数料や、原盤や納品プリントなどの運搬費などの経費をプラスして料金を設定しています。現在、放送用素材の納品は、HD-CAMが主流ですが、最近では、XD-CAMなどのファイルベースメディアでの納品も徐々に増えてきています。

海外制作費

例えば、自動車メーカーのCM映像などで良く見る海外の大自然を車が走っている映像を撮影するために海外でロケをします。海外ロケの場合には、タレントやスタッフが現地に行く場合と、現地のタレントや制作プロダクションを起用して制作のすべてを依頼する場合があります。

その他の制作費

各種書類作成費や、出張打ち合わせの費用、プレビュー費など、映像制作にかかる費用で上記に挙げたもの以外にかかってくる直接の経費などのことです。

制作会社とクラウドソーシングのコストの違い

ここからは、映像制作におけるコスト面について、制作会社の場合とクラウドソーシングを利用した場合との違いを見ていきます。

まず、映像制作の仕事の特徴として、様々な専門的スキルを持った人や会社が関わることで仕事が成立するという特徴があります。

そして、映像制作を請け負う制作会社は、デイレクターやプロデューサーといった人材は社内にいても、CG制作や編集マン、カメラマンなどの人材は社内にいないことがあり、一社だけではあらゆるジャンルの映像制作に対応することができません。

そこで、映像制作会社は、CG制作会社、編集などを行うポスプロと言われる会社などへ外注を行います。映像制作に関わる会社は、それぞれが専門に特化しているため、一社のみで映像制作を全て請け負えず、結果、多くの会社を通すことにで多重構造が生まれます。

制作会社を利用した動画制作の流れ制作会社を通して発注することの課題としては、社内に制作に必要なスキルを持った人材がいなかったり、必要な機材が無かったりすることで、一社だけで制作を完結することができず、多くの会社が関わる多重構造になることです。

その結果、余分な費用が制作費にプラスされ、本来映像のクオリティ向上のために使われるはずの制作費が高騰してしまいます。

クラウドソーシングを使うことでコスト面のメリットはどうなのか?

映像制作と一口で言っても、企業の紹介映像、アプリ紹介映像といった企業のウェブサイトで使う映像から、テレビCMの映像まで様々です。そして、このような用途の中でも、企業のウェブサイトなどで使用する映像であれば、最低限の人件費で制作をすることが可能です。

また、最近ではテレビCMのような高品質な映像制作でもクラウドソーシングを使って制作することができるようになっています。

企画内容に合わせて必要なクリエイターのみに仕事を発注できるクラウドソーシングの利用によってコストを抑えることができます。

クラウドソーシングを利用した映像制作の流れ

クラウドソーシングを利用することのデメリット

映像初級者が映像制作を行う場合、クラウドソーシングの映像制作会社を探し、各社の見積もりを比較したり、フリーランスのクリエイターを探したりといったことに多くの学習コストと時間コストがかかります。

また、クリエイターがどんな作品を作れるのか、仕事を任せて大丈夫か、といったクオリティ面・信頼面での不安要素が残ります。

時間コストを減らすには?

Crevo(クレボ)のクラウドソーシングを利用することによって、時間的なコストを抑えることができます。

時間的なコストメリット

Crevo(クレボ)では、登録している3,000名のクリエイターのどのクリエイターに依頼すれば、どんな映像ができ上がるかといった発注者にとって不明な部分をフォローしたり、企画作成やスケジュール管理といったサポートがあります。結果、時間的なコストも大幅に抑えることができます。

必要なクリエイターを取りまとめ全体の進行管理を行うサポート

映像制作初級者が、映像制作を行う上での不安要素として、発注者がフリーランスのディレクター、カメラマン、編集マンといったクリエイターに対して、映像の目的や仕上がりのイメージを説明したり、修正の指示をしたりする進行管理をしなければならないことがあります。

しかし、専門性を持ったクリエイターに対して指示を行う場合、お互いの知識や経験に大きな差があるため、作業の工期はどれぐらいかかるのか、要望は本当に実現可能なのかといった制作に関する部分は、経験を積んでいないとなかなか分かりません。

そこで、発注者とクリエイターの間に動画制作サービスのCrevo(クレボ)の進行管理のサポートが入ることによって、発注者の映像制作の不安を取り除くということを行っています。そのため、映像制作が始めての方でも、専任の担当者からサポートを受けながら安心して制作することができます。

まとめ

今回、制作会社とクラウドソーシングを利用した場合における映像制作のコスト面のメリットについて比較してきました。

2016年現在では、映像制作におけるクラウドソーシングのサービスの数も増え、驚くほどの低価格で映像制作が可能なクラウドソーシングなども出てきています。

また、クラウドソーシングサービスによって、クリエイターとのマッチングのみ、もしくは、企画・構成部分のみ、編集のみのように、その金額の範囲で何をしてくれるのかが変わってきます。

しかし、映像の目的・用途次第では、自分達で映像を用意して、編集のみ発注をしたり、企画・構成部分のみ発注をしたりと、クラウドソーシングによって必要なもののみ発注することで、大幅に制作費を抑えることが可能です。

制作会社を選定する際には、制作費と合わせて、今回紹介したような制作会社やフリーランスのクリエイターを探す、制作運営といった時間的なコスト面なども検討してみてはどうでしょうか。
(文=朝比奈 直樹)

参考資料

広告制作料金基準表15−16(宣伝会議書籍編集)

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