視聴者を動かすには!?動画制作における尺(長さ)と広告効果の関係を重視しよう!

尺の長さ

Vine、Snapchat、Instagramなどのマイクロ動画の流行もあり、短い動画を目にする機会が以前よりも増えてきました。こうした中、ネットで配信する動画広告についても、「長い動画はもはや時代遅れだ!」という極論も聞こえてきたりすることもあります。しかしYouTube Ads Leaderboardで2014年度版にランクインした動画広告の長さは平均3分で、2013年度と比べて47%も長くなっています。そしてその傾向は続行しており、2014年、2015年ともにトップとなった広告で1分以内のものはひとつもないという調査結果も出ています。短いのか、中くらいのか、長いのか、いったいどの尺の動画が効果的なのか、ここで改めて考えてみましょう。

記事の要点3● Googleの問題提起「長いことは強いことなのか?」その答えは!?
● 尺に合わせてどんなコンテンツを入れるかを検討すべき
● 大切なのは「ビジネスのゴール」に沿って最適な尺を選ぶこと

YouTube上では長尺広告ほど効果的といえるのか?調査内容を見てみよう

動画広告は短い尺の全盛期を迎えた・・・、と漠然と感じていたマーケターにとって、Googleの「In Video Advertising, Is Longer Stronger?」(動画広告において、長いことは強いことなのか?)https://goo.gl/cMf3Cs 2016/04/13 という記事はかなりインパクトがありました。ユーザーは短い動画を好むマイクロ動画派と長い動画を好むYouTube派に2極分解したのでしょうか?

まずはその調査内容を見てみましょう。記事によれば、Googleはクラッカーのブランド「Honey Maid」のMondelez社と共同で、まずスキップ可能なTrueView対応の種類の長さの動画広告を用意しました。

15version

The 15-Second Cut

https://youtu.be/8D_hE8ysNX0

30version

The 30-Second Cut

https://youtu.be/AC36c6pho4M

2minversion

The Long Cut (2:17 runtime)

https://youtu.be/zKnh67suPAw

そして、下記の2点にフォーカスして調査を行いました。

1.視聴者は15秒、30秒、あるいはそれ以上の動画のどれを選ぶのか

2.「広告の想起」と「ブランドへの好感」という点でブランディングにどんなインパクトを与えるのか

まず、1の結果をグラフで確認してみましょう。

VTR

この結果からGoogleは「動画は長いほうが強い効果を持つかもしれない」と示唆しています。確かに短い15秒の動画よりも30秒版、2分版の方がビュースルー率(VTR)は高く、グラフからは30秒版が15秒版よりも30%高いVTRを獲得していることが分かります。

次に2の結果です。

広告に関するデータ

「広告の想起」(Ad recall)に関しては、短い15秒版の圧勝です。ブランドの認知拡大に短尺広告は効果的かつ効率的であるということが読み取れます。短尺のフォーマットは認知度を高め、記憶にも残りやすく、検索などの重要なアクションを喚起する可能性があります。一方で、右側の濃い色の棒グラフ、「ブランドへの好感」(Brand favorability)は30秒版と2分版が勝っています。広告想起とブランドへ好感の間にはかなり大きなギャップがあることが分かります。

尺に合わせてどんなコンテンツを入れるのかを検討すべき

地球儀

前の段落で「尺」と「心理変容」を紹介しました。Googleの考察は尺のみに留まっていますが、実際に動画制作をすることを考えると尺のみで制作できるわけではなく、その尺の中に入れるコンテンツも考える必要があります。今回の動画を見ると分かりますが15秒の動画に関しては商品訴求に加えそれに関わる家族を表現しています。30秒、2分の動画となると商品訴求のボリュームは大きく増えていない一方、家族の描写が増えているように見えます。

尺を考えずにコンテンツの内容と結果のみを考えると商品訴求に特化した動画コンテンツの場合は広告認知が高まり、商品の周りのストーリーを提示するとブランド好意を上げることができる、という仮説が考えられます。

では尺とコンテンツ両面で考えるとワンメッセージを短尺で端的に伝えると広告認知を上げることができ、商品周りのストーリーを長尺でしっかり伝えるとブランド好意を上げることができると言えるでしょう。

ビジネスゴールに応じた動画広告「尺」戦略が必須

Googleはこの調査結果へのコメントで、「広告の効果測定はビジネスのゴールにつながっているということを忘れないようにしましょう。そして「広告の想起」のような一つの領域での良好な指標が他の領域(「ブランドへの好感」)にも貢献すると信じてこんではいけません」としています。

例えば、まだブランドの認知度がそれほど上がっておらず、今回の動画プロモーションの目的が「認知度の向上」である、とした場合には「広告の想起」において効果の高い短尺の広告をワンメッセージで配信するという戦略が考えられます。

それとは違うケースで、すでにブランドは認知されている商品の好感度を上げたいという場合には、より視聴者の態度変容に深く関わることが可能な長尺の広告をブランドストーリーを含めて採用するという戦略が考えられます。

効果的な動画プロモーションを行うためには、案件ごとの「ビジネスのゴール」に沿って最適な広告効果を持つ尺を選ぶことが大切です。

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執筆者

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