第一回の記事では、Z世代が生まれ育った時代についてを紐解いてみました。
そのような社会的背景と共に生まれ育ったZ世代は、具体的にどのような特徴や価値観を持っているのでしょうか?
第二回の今回は、マッキャン・ワールドグループ ホールディングスによる独自調査レポート「TRUTH ABOUT GENZ IN JAPAN~日本のZ世代の真実~」から、日本のZ世代の特徴についてをお届けします。
日本のZ世代、課題意識はあっても矢面には立ちたくない?
同社プレスリリースによれば、本調査は、かなり大規模にZ世代を調査したレポートと言えそうです。
マッキャンは、Truth Centralが2011年から開始している「Youth」シリーズと、新たに行った2年にわたる調査結果をベースに、アジア太平洋地域地域のZ世代を対象*にした追加調査、さらに、日本独自の追加定性インタビューも実施しました。
その結果、世界やアジア太平洋地域のZ世代は、近年顕在化した様々な社会問題を克服する能力に独自の自信を持っていることがわかりました。しかし、日本のZ世代は、世界のZ世代と比較して、次にあげるような違いが顕著に見えたそうです。
以下、同社プレスリリースより原文のまま転載します。
日本のZ世代の48%が、自分たちの住む地域社会に積極的に貢献する責任があると考えている(世界的に見ても最低で、世界平均は79%)。
日本のZ世代の42%は、「他人を不快にさせないよう気をつけることよりも、自分自身を表現することは自由であるべき」と考えている。(世界的に見ても最低で、世界平均は59%)日本のZ世代の11%は「世界をポジティブに変えた人物として記憶されたい」と考えている(世界的に見ても最低で、世界平均は26%)
*対象:中国、日本、インド、シンガポール、マレーシア、香港、フィリピン、タイ、韓国、オーストラリアの18歳から24歳までの5,000人
企業やブランドに求めているのは、”エモさ”や”リアルさ”。メンタルヘルス課題に手を差し伸べて欲しいがシリアスさはNG
巷で言われているZ世代のイメージは、いわゆる意識高く、社会課題に対してもオリジナリティを持って立ち向かい、時代の荒波を優雅に乗り超えていくイメージがありますが、
日本のZ世代の特徴は、そのイメージとは少し異なるようです。
今回の調査結果をまとめ、下図の中の6つの特徴が、日本のZ世代において顕著に見られた傾向である、と同社は述べています。
同社プレスリリースより転載
以下、同社プレスリリースより、日本のZ世代の特徴を引用及び要約しています。
急速
「速さ」は重要というよりも「当たり前」。ユーザビリティの悪さや、対応の遅さを感じるブランドはそれだけで忌避。とくに問題に対する対応の遅さに、上の世代との差を感じがち。
感覚的
「世界観」という言葉はとても重要。それは理屈ではなく感じとるもので、むしろ理由を求めることはナンセンス。(=”エモい”の正体)上の世代に対してわかってもらおうと思ってない。また、SNSを通じて、企業やブランドの「世界観」に触れようとしている。
真実を好む
SNSとともに生きてきたZ世代は、数多くの炎上事例の目撃者。だからこそ、完璧や形式的なものよりも、リアルで等身大な姿勢を好む。一方で、日本のZ世代は人の目をセンシティブに気にする傾向。SNSキャンペーンなどは、そんな彼らが参加しやすい仕組みを設計する必要有り。
国や時代を超える
SNSの登場で、場所や時代に囚われず好きなものを見つけやすくなったため、伝統文化やオールドカルチャーの人気が高い。流動的な時代を生きてきたZ世代だからこそ、トレンドに囚われないものを支持したい気持ちがある。
違うことは当たり前
多様性の問題の中でも、とくに関心が高いのは「ジェンダー」と「セクシャリティ」。(日本では人種問題を身近に感じづらいと考えられる)課題意識はあるものの、自分が率先してアクションしようと思う人は少数派。だからこそ、企業やブランドが変えてほしい。
繋がりの矛盾
常時接続が当たり前だからこそ、繋がることへのストレスや、真の意味では満たされない孤独感がある。企業やブランドへは、シリアスになるよりもユーモアを持って向き合って、若者同士の間が話しやすくなるきっかけを提供するような姿勢が支持されている。
なお、「スマホが発明されなければよかった」と感じる人はベビーブーマー世代24%に対しZ世代34%で最多。
スマホの出現による孤独やストレスが、多くのZ世代のメンタルヘルスに影響を与えているようです。
まとめ
スマホの出現による恩恵を受けながらも、孤立化というメンタルへルス課題を持つZ世代。
彼らの心を掴む方法は、SNSを活用しながら仲間を作ったり、仲間と楽しめる場を提供し、彼らの孤独に寄り添うことなのではないでしょうか。
Z世代を知る重要な特徴として、世界観(エモさ)がありますが、オンライン上に溢れる情報の海を泳ぎ、自分に合った情報を取捨選択しているZ世代にとって、リアルかそうでないか、見分けるのは容易いことでしょう。
これからの時代の企業やブランドがZ世代の支持を得るためには、理屈だけはない、より透明性が高く本質的なメッセージと、感覚的、視覚的なクリエイティブが必要になりそうです。
次の記事では、Z世代がSNSと共に、具体的にどのような楽しみ方をしているのか、彼らのライフスタイルや行動規範についてを紐解いてみたいと思います。
Z世代の生態を紐解こうシリーズ
第三回 Z世代ならではの「コト消費」。どんな行動規範に基づいている?
第四回「TikTok」のバズは狙って起こせる?企業事例をご紹介
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