コラム

2016年01月28日

LINE LIVEはテレビ放送と異なる「スマホエコシステム」

西田 宗千佳; ジャーナリスト

posted by 西田 宗千佳; ジャーナリスト

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2015年12月から、LINEが動画配信サービス「LINE LIVE」をスタートしています。

動画配信というと、このところは、ドラマや映画などを配信するものが目立っていましたが、LINE LIVEは違います。基本は「生配信」です。

ネットでのライブ配信というと日本の場合、「ツイキャス」や「ニコニコ生放送(通称・ニコ生)」といったサービスがまず思いつきます。

「Ustream」がテレビ放送を補完する役割として注目された時期もありましたが、今はやはりツイキャス・ニコ生が多いでしょう。

LINE LIVEはこれらサービスの後追い、という印象を持つ人もいると思うのですが、現状ではかなり特質が異なります。

この記事を書いている16年1月の段階では、LINEに公式アカウントを持つ芸能人・有名人のライブ配信を軸としたサービスが行われているためです。

それに対しツイキャス・ニコ生は、プロによる配信も多いものの、個人が自由に配信している例が目立ちます。LINEも「近日中に個人向けの配信ツールを公開する」としているのですが、若干の違いがあります。

この傾向から「LINEはマスメディア的なものを指向している」とも指摘されました。しかし、実際にはちょっと違うようです。

LINEといえば、みなさんも毎日使っている「スタンプ」が思い浮かびます。いまでこそ、スタンプは誰もがクリエイター登録を行い、自作したものを販売できるプラットフォームになっていますが、当初は違いました。

企業が提供するキャラクターのみが販売対象となっていました。実はこれは、LINEの作戦です。

最初からすべてをオープンにすると、どういうものを作っていいかわからなくなり、「質の悪いスタンプ」が増える可能性があります。

特に、下品なものや性的なものは、面白い分だけ場を荒らす可能性も高いです。場が荒れるのは、プラットフォーマーがもっとも避けたいことでもあります。
linelive
そこでLINEは、企業による公式スタンプによって「こういうものが売れる」「こういうものが面白い」という実例を作ることを優先しました。

それが、後から来る一般クリエイターの基準になると考えたわけです。審査はありますし、まったく荒れないわけではないですが、LINEスタンプのやり方は成功だったと言えます。

LINE LIVEも同じやり方を踏襲しています。ファンがアーティストを見る図式をまず作り上げることで、コメントを含めた「場が荒れにくい空気」を作ろうとしたわけです。

ですが、これは彼らが「芸能界重視」とした、という話とは、若干異なるようです。アーティストにとって、LINE LIVEのような場はとても良いアピールの場です。

特に、自室にテレビを持たず、エンターテインメントの中心が完全にスマートフォンである10代にとっては、圧倒的に有利です。

しかし、「そこでなにが起きているか」「そこで誰が支持されているのか」が形作られるルールは、テレビ放送とはまた違ったものです。

テレビのバラエティ番組でよく見る人が支持されるとは限らず、10代だけが支持する人々も出始めています。

無理に大物タレントを引っ張ってくる必要はなく、「ネットを活躍の場として、積極的に使う人々」の方が、スマートフォンを軸に楽しむ10代にはヒットしやすい傾向にあります。

YouTubeやニコニコ動画で活躍する配信者には与しやすいプラットフォームと言えます。誰がどのような形で支持されるのかを予想することはできませんが、過去のメディアでの「才能を売り込むメソッド」は、そのまま通用しません。

プラットフォームの仕組み上、LINE LIVEから直接アーティストが収益を得るのは難しい構造なのですが、LINE LIVEを宣伝として使い、物販やコンサートなどに誘導することは十分に可能です。

そうした部分の使い方も、過去のメディアとは違う点になるでしょう。「スマホの上でどうやってアテンションを維持するか」という点において、LINE LIVEでどういうことが行われるのか、注目しておく必要がありそうです。
(文:西田 宗千佳)

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