マーケティング

2014年12月17日

“動画作って終わりじゃない” フォルクスワーゲンの動画メディアにおける”メタ”を活かした手法

posted by VIDEO SQUARE 編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加

自動車産業の中でもプロモーションに積極的なフォルクスワーゲン(以後、VW)。彼らはリアルでの大々的なプロモーションだけでなく、動画でのプロモーションも行っています。

VWによって2010年に開設されたYouTubeの公式チャンネルは、投稿された動画の総再生回数が約200万回となっています。

今回は、そのVWが持つサイドアシスト技術について説明した動画を紹介します。同社はもちろん自動車を作る会社なのですが、動画には車が登場しません

VW × ギリシャ神話=○○


企業:フォルクスワーゲン
YouTubeチャンネル:adsoftheworldvideos
総再生回数:約1万2千再生(2014年11月時点)

この動画は、ギリシャ神話上の戦争 トロイア戦争に登場するトロイの木馬を使った動画です。神話に登場するトロイアの木馬は、ギリシア勢がトロイアを陥落させるために作られた大きな木馬。

欺かれたトロイア人は中にオデュッセウスたちが隠れていることに気づかず木馬を場内に引き入れてしまい、それが原因で都市国家トロイアの滅亡を招いてしまいます。

動画を再生すると、覗き込むような限られた視界からトロイア市内と思われる路傍が映し出されます。実はこの視界、木馬の中に潜むオデュッセイア、もしくはギリシア兵士の視点です。

VW「みんな気づいていないだけで危険は身近に潜んでます」

001

1、2秒すると、馬の房毛のついた兜をかぶったトロイア兵がご機嫌な様子で近づいてきます。視界の主を見上げる二人の兵士のうち一人が木馬の大きさに驚きながら笑うと、その瞬間、”Wooden Horse”という文字が現れアラームを鳴らし始めます。

VWがこの動画で表しているのは、「気づかないところに潜む大きな危険」です。

鳴り響くアラームがサイドアシスト機能ということだと思われますが、残念ながらギリシア神話にサイドアシスト技術は登場せず、トロイアは滅亡してしまいます。

VW × ローマの英雄=○○

カエサルとブルータスと言えば、「ブルータス、お前もか」という言葉で有名な裏切りの物語が真っ先に浮かびます。


企業:フォルクスワーゲン
YouTubeチャンネル:adsoftheworldvideos
総再生回数:約1万2千再生(2014年11月時点)

動画では冒頭、ローマの英雄 ガイウス・ユリウス・カエサルが、絶対の信頼を置くブルータスを連れて歩いています。

そしてカエサルがブルータスの肩に手を置き「お前を友人に持ったことは素晴らしいことだ」と語った一瞬後、ブルータスはカエサルに見えないよう不敵な表情を見せます。

画面に浮かんだ“Friend”の文字がアラームを鳴らす中、二人は通路の奥へ歩き去っていきます。

ソリューションのアピールは、問題提起から始まる

002

直後にもカエサルは裏切られ暗殺されてしまうのではないかと思ってしまう動画ですが、この動画でVWが表現しているのも「身近に潜む危険」と「他人の意図」です。

身近に居る他人が「まさか」と思うような行動をとるという危険性に、カエサルは気づかない。あなたは気づいていますか? という問題提起・メッセージです。

VWのような、顧客に対して既にある程度何らかの価値を提供できている企業が動画プロモーションを行う場合、その目的は技術や機能の説明となります。

自社のソリューションがどう役立つのか、どんな時に役立つのか、その技術が価値あるものだと説明しなければなりません。

そこでVWがとった方針は、”危険“というものが身近なところに潜んでいるんだという問題提起を行うことでした。

そしてそれを動画にした時、彼らに必要だったエッセンスは必ずしも自動車ではなく、「身近に潜む危険」そのものであり、その危険を察知するのにサイドアシスト技術が必要であると暗に示す形をとりました。

上記の二つの動画から以下のことを連想させようとしています
トロイの木馬
木馬からギリシア兵が出てくるなんて思わない
→自動車「車が不意に出てくるはずがない

カエサル
ブルータスが裏切るわけがない
→自動車「あの車が急に動き出すなんてことはない

VW × 一般人男性=○○


企業:フォルクスワーゲン
YouTubeチャンネル:volkswagendobrasil
総再生回数:約1万6千再生(2014年11月時点)

次に紹介するのは、動画はただ作ればいいわけではないということを教えてくれる動画です。

この動画のタイトルは” Side Assist | Frame Escondido | Volkswagen“。

YouTubeに投稿されたこの動画では、自動車の機能を自動車の登場なしにサイドアシストを説明するある”仕掛け“があります。

動画が始まると、グレーのシャツの男性がなにやらスペイン語を話しながら近づいてきて、おもむろに下を指さします。そして彼が満足したような微笑みを浮かべると、急に画面が切り替わり何故か落下する別の男性が映ります。

画面は戻り、グレーシャツの男性が涼しい顔でその場を一歩動くと、元いた場所に男性が落ちてきます。そしてグレーシャツの男性はドヤ顔で何か説明をし始めます。さて、どこに仕掛けがあったかおわかりでしょうか?

YouTubeを通してコミュニケーションを起こす

003

実は動画の15秒前後で男性が指さしたのは下ではなく、YouTubeのシークバー。この時「ここにマウスを置いてごらん。クリックしなくていいから」と言っています。

指示に従ってシークバーの指された部分にマウスオーバーすると、数秒後の未来がプレビューで見えます。そこには落下している男性の姿が。シャツの男性はこのプレビューを基に、落下する男性を避けたのです。

この表現は、機械が視野を補完し、危険を予測して教えてくれるというサイドアシスト機能の効果を象徴的に表しています。このように、VWはWebで配信する動画ならではの手法で、見事にサイドアシスト機能のエッセンスを表現しました。

配信するメディアというメタな要素を巻き込み、ユーザーの行動を引き出してコミュニケーションを図ろうという試みです。

表現の工夫をすると、テレビCMではなくWeb動画を作る意義をわかりやすく感じることができます。

Webでしかできないこと、その配信媒体でしかできない工夫を凝らす。

この考え方は、動画が終わった後も自社ソリューションの概要を記憶してもらう工夫の参考になるでしょう。

終わりに

今回見ていただいたのは全て、VWがサイドアシスト機能という技術について説明した動画です。

VWは、自社のソリューションについて説明するために、”危険“という問題提起を動画で客観化して表現することで、サイドアシストの価値をアピールしていました。

今回のように、サイドアシストという機能・技術を説明するコンテンツでも、仕組みや技術そのものではなく、「その機能がどういう効果をもたらすのか」というユーザーが得るポイントに重きを置いて設計されています。

また、プロモーション巧者のVWらしく、動画プロモーションにおいてもただ動画を制作するというのではありません。

ユーザーの視点を意識したりYouTubeのシークバーを利用したりと、動画をユーザーとの接点と捉え、積極的にコミュニケーションを図ろうとしている態度が伺えます。

VWの事例は、ソリューションをアピールしていく立場にある企業にとって参考になるものだと言えます。

動画というコミュニケーションツールを通したプロモーションが技術を効果・効用という切り口から訴求する良い機会として活用できるという考え方は、悩ましいソリューションの価値の訴求に風穴を開けてくれるでしょう。

(編集:サムライト

伝えたい、を動画でかなえる。動画制作ならCrevo[クレボ]
crevoad

関連記事

Crevoの動画制作・映像制作が選ばれる3つの理由

  • 29万円から制作できる実施しやすい金額
  • 2,500名以上のトップクリエイターから選べる豊富なバリエーション
  • 初めての動画制作・映像制作でも安心のサポート体制

ご相談はこちら